閑話と『木々に囲まれた楽園』突撃編

閑話:第1話 それ行け! 僕らのミミリーさん!!①


「ぶにゃ〜。もう、おしまいだなにゃ〜」



私ことミミリーは、カウンターに突っ伏して自分の不運を呪った。



「はぁ……パパの課題は難し過ぎるのにゃ〜。 おしまいだにゃ〜」



深いため息と共に低い声で唸るように呟く。

パパから出された独り立ちの課題。

私はその課題が行き詰まり……パパの店のカウンターで突っ伏すしかなかったのだ。


私は今年で22歳。

この国では成人して早10年。



「一人前の商人になりたいのにゃら、1年以内に独立して商会を作るのにゃ。それ以降は援助を打ち切るのにゃ」



パパからの無情な言葉……。

何かをしようにも何をすればいいかわからずに、あれよあれよ半年が過ぎた。

とりあえずパパの店のカウンターに立ち、客の動向を見たが商売のアイディアは浮かんでこなかった。


そして今、なすすべもなくカウンターに突っ伏しているのである。


〝カランカラン〟


店のドアについたベルが鳴る。



「「「「いらっしゃいませ!!」」」」


「いらっしゃい〜なのにゃ〜」



1人だけやる気なく、カウンターに突っ伏したまま声を出す。

他の店員から冷たい視線を感じるが……どうでもいい……それくらい、今の私は不貞腐れていたのだ………。


だめにゃ……このままカウンターの肥やしになってしまうのにゃ………。


そんな私に影が差す。

やる気なさげに見上げると、幼馴染で婚約者(両親が勝手に決めた。)のガンラが立っていた。



「畑の肥やしにも負ける……負ける私に何か用かにゃ?」


「ハハハ。何言ってるんだか」



ガンラはそう言うと、カラカラ笑う。

近くの木箱をカウンター前に持ってくると私の前に座った。

頭を勝手に撫でてくる。


勝手に触るなと手を払いたいけど……気持ちがいいから許すにゃ。



「聞いて欲しい話があるんだけど」


「勝手に話といいにゃ………私は暇すぎて、どこにも行かにゃいにゃ」



ガンラが顔を耳に近づけてくる。

けど、避けるのも面倒臭い。



「私のスキルって〝使役〟なのは知ってるよね。そのスキルの能力に〝感覚同調〟ってのあるんだよ。それでね………」


……。

………。

…………延々とスキル自慢をしてくる。


普段はいい人なんだが、たまに面倒臭い。



「何が言いたいにゃ〜?」


まだまだ続きそうだったので……話の先を催促する。



「アハハハ。ごめん。ごめん。簡潔に言うと、『忘れられたオアシス』が木々で囲われていたんだ」


「はにゃ?」



私は頭を上げ、こいつ大丈夫?って視線を向ける。

そんな私をみて、ガンラが苦笑いをする。


あそこは何処のオアシスからも遠く誰も行かない。

だから、『忘れられたオアシス』なのである。



「父上にもそんな目で見られたよ。でもね。俺は見たんだ。その木々に囲まれた『忘れられたオアシス』に人影を……。何人かはわからないけど、確実に人がいるみたいなんだ………。」


「だからなんにゃ?」



要領を得れず、イライラしてしまう。

そんな私を見ても、ガンラはカラカラ笑うだけだった。



「だから、考えてみて……もし人がいるなら………? あんな最果てのオアシスに物を運ぶ商人なんていない。それに、人が生きているってことは、そこの木々が木の実や果物がある木なんじゃないかって思うんだよね。………最後に……何もないオアシスが急に木々に囲まれたんだ。もしかしたら………その人は魔法使いかも知れない……そうなると、そこにある木々は普通の木ではないのかもしr………」


「お金になるかもにゃ!!」



ガンラの言葉を遮り、私は机を叩いて立ち上がる。


そうにゃ!

もし、それが本当にゃら……誰か住んでいるのにゃら!

そうにゃら、金になるかもにゃ!


私はすくっと立ち上がり店の奥へ急ぐ。

ガンラは私を背越しに



「頑張れ〜」



と軽く言ってくる。

だが、私は振り向かない……なぜなら、もう私にはこれしか無い気がするからだったのだ。


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応援、フォロー、ありがとうございます。

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                  同瀬馬野抱枕

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