第28話 男だと思ったら……領主の息子だったのです。
『神は居ない』そんなことは〝追放〟された時から知っていた。
でも、昨日……桜花さんが〝御神体〟になってたから、神様を信じようと思っていたのに……。
これが現実………糞食らえ!
心がギスギスの僕は元王子のユーラです。
「素晴らしい!! 空から見てたより100倍素晴らしいよ。ユーラさん」
ミミリーさんの真横で、目をキラキラさせながら喚いている男。
領主の息子だったのです。
ちなみに『忘れられたオアシス』を『木々に囲まれた楽園のオアシス』って名付けたのもこいつ。
周知されてはいないみたいですが………。
っでこの人、『忘れられたオアシス』が『木々に囲まれた楽園のオアシス』になっていた事を証明した為、領主命令で今回のミミリーさんの商隊に同行したそうだ。
名前はガンラ。
ミミリーさんの婚約者のガンラさんだ。
ケッ! やってられるか!!
同じ人族なのに……なんで僕じゃないんだよ……ケッ!
神は死んだぜ………って、ごめん。桜花さん。神は……君がいる。
それだけで、僕は幸せなんだよ。
▼▼▼
放っておくと、婚約者さんがいつまでもギャーギャーうるさいので、サクッと商談開始。
先にミミリーさんが持てきたものを見せてもらう。
舟 2艘
塩 18L樽x4
米 18L樽x2
酒(ワイン)18L樽x3
小麦 18L樽x2
野菜の種 五種類x各種100個
家畜
テント 2式(大一式、中一式)
その他雑貨 (服、料理器具、農具)
本(樹木図鑑) 2冊
ガーラン王国金貨 30枚
おぉ!! 米だ!! 米!!
普通に存在した!
これでやっと前世……現代人っぽい食事ができる!!
………料理ができるのかって?
そんなもん。贅沢言わなければどうにでもなる!
おっと、話が脱線しそうだ。
ミミリーさんが今にも襲いかかって来そうなくらい鼻息が荒い……。
このままだと暴れ出すかもしれないね。
では早速。
梨 100個
りんご 100個
アボカド 100個
桃 100個
カカオ 100個
山椒 18L樽x1
シナモン 18L樽x1
コーヒー 18L樽x1
ナツメグ 18L樽x1
クローブ 18L樽x1
茶葉 18L樽x3
まだ沢山渡せたが、ミミリーさんのマジックバッグが一杯になった。
そう考えると、僕が貰ったマジックバッグ。
腐っても王国所有だけあって、通常の何倍も入るようだ。
では、ミミリーさん達はこの量をどうやって持てきたのか……答えは簡単。
二艘の舟にアイテムバッグに入らないものを載せ、ラククで引っ張ってきたそうだ。
これ、砂漠の国ではよくやる方法らしい。
帰りは舟が無いのでアイテムバッグに入るだけ。それでも結構な量。
ミミリーさんは…………
「お宝にゃ。山積みの金貨は見えるにゃ………グフュフュ………」
ミミリーさんの目が、またしても$になって涎まで垂れてる。
女性が見せていい顔じゃない………まぁ、可愛いけど。
ガンラさんも見て見ないふり……をしてなかった………。
目が同じように$になってる!
何か呟いて……なになに?
「これ行ける! 行けるぞ! 王家に取り入ってもらえる! そうなれば、マーネル家は安泰……いや、繁栄する……。どうにかして、ミミリーとは別に持って帰るには………」
なんか色々と考えているみたいです。
目が$マークの男ほど可愛くない生き物はいない……そう確信しました。
ずーっとこっちを見て、ブツブツ呟いて気持ち悪いし。
何よりお前らの出世に使われるつもりもない。
僕はその場を離れ、荷物をミミリーさんのマジックバックへ入れるのを手伝う。
何はともあれ無事に取引は終わったのだった。
《備考》
オアシス生活75日目(朝)
・植林の内訳
合計植林 318本(318/320)
▶︎桜 1本 ▶︎りんご 5本
▶︎梨 5本 ▶︎カカオ 5本
▶︎桃 5本 ▶︎茶の木 5本
▶︎山椒 5本
▶︎オリーブ 5本
▶︎アボカド 4本
▶︎シナモン 4本
▶︎コーヒー 4本
▶︎ナツメグ 4本
▶︎クローブ 4本
▶︎防風林 第一陣:120本(完成)
第二陣:130本(完成)
▶︎労働力 椚木隊:12本
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同瀬馬野抱枕
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