第9話 問題です。


おはようございます。

オアシス生活3日目。

食っちゃ寝の生活も板についてきた元王子ことユーラです。


問題が発生しました。

砂漠ということを忘れてました。

砂嵐です。

夜中に襲われました。


桜花さんと梨の木は無事……っていうか、砂嵐の中でも一晩で3mまで育った梨の木が凄い。

梨の木の根元はやっぱり〝木の結界〟で草花が茂っていた。

砂嵐で飛んできた砂は、朝方は積もっていたが昼過ぎには何もなかったように消えていた。

これも〝木の結界〟の効果なのだろう。


それにしても、砂がとんでもない勢いで襲ってきた。

細かい砂が洋服の中に入って痛いのなんの。


そして考えました。

『防風林』です。

これこそ、〝植林〟の一環です。

なので、しばらくの間は『防風林』を作ることに専念することにしました。

なるべく高くなる木………で、前世で『防風林』と言うと……杉、ヒノキにポプラ!


どれにしよう……杉とヒノキ……花粉症だったらやだな……。

よし! ポプラにしよう。



「スキル〝植林〟」



ポプラの苗木が一株、いつも通り手元に現れる。


確か、ポプラは樹高30mくらいまで育つ。

桜花や洋梨の木と同じなら、〝木の結界〟が発動するはず。


泉から30m離れたところへ植えることにしました。

砂漠の中にポツンと植えられたポプラ。

無事に育つことを祈ることにした。


▼▼▼


オアシス生活8日目


本日の〝植林〟を行う前にちょっと実験。

今、合計で6本のポプラさんが植えられているが、まっすぐ伸びるポプラさん……。

成木になったポプラさん達が、前世の記憶より思ったより10mくらい高い。

そして、樹高に比例して広がる〝木の結界〟。


もっと『防風林』の輪を大きくできるのでは?


そう思い、最初に植えたポプラに声をかける。



「ポプラさん。ポプラさん? もう少しだけ、外へ移動できますか?」



僕の声に応えて、ポプラさんが土から這い出る。

そして、一歩、また一歩と〝木の結界〟を確認しながら外周へ向かう。


結果として、40m程度まで泉から離れることができた。

そこで号令をかける。



「他の皆さんもお願い」



それに応えて4体のポプラが土から這い出る。

なかなか壮大な風景だ。

その中で小さい1体が、まだ人型になっていない1本の苗木を掘り返し持って移動する。

なんて、ほのぼのとして心温まる光景なんだ……っと思いつつ。


裏では、「彼らを使えば、畑もできるんじゃねぇ!?」と邪な考えをしてしまう僕は、もう王族の高貴な血は流れていないんだと思うのだった。


他のポプラさん達も40mの所で綺麗に並んで土に潜る。

これで、草原の範囲が広がった。


僕は満足し、そして今日の分の〝植林〟をして終了。

桜花さんの所へ戻って昼寝をするのだった。




《備考》

・植林の内訳

  オアシス生活8日目

  合計植林 8本

   ▶︎桜 1本 ▶︎梨 1本  

   ▶︎防風林 第一陣:6本


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異世界ファンタジー週間で542位をいただきました。

ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

           2022.6.16 同瀬馬野抱枕

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