第2話 ぼっちじゃねぇしです!
さて、荒野のど真ん中で途中下車させられた僕。
ケビン改め、ユーラです。
頭の上をハゲタカが飛んでいます。
僕、まだ餌じゃないよ。
荒野にある最果ての街……王都からはるか東にある街。
御者さんの話では馬車でも後10日、人の足だと20日程かかるそうで到底人の足では辿り着くことが不可能と言われてしまいました。
とは言え、王都へ戻れる距離でも無く途方に暮れているところです。
ただ、ありがたかったのが御者のおじさんがいい人だったこと。
餞別で貰ったアイテムバックをちゃんと僕に渡してくれた。
いそいそと中身を確認するとこんな感じ。
鍋 1つ
薪 20本
食料 10日分
毛布 1枚
銀貨 20枚
ナイフ 1本
テント 1つ
スコップ 1本
水の魔石 2個(15日分)
火の魔石 1個(20回分)
魔物避け球 15個
あぁ〜絶望が僕を包み込む。
とりあえず、日陰を探さないと。
道を外れて荒野を彷徨う。
暑さで喉が渇き無駄に水を消費してしまうが仕方がない。
そのおかげか、彷徨った先に大きな岩が重なってできた洞穴を見つけた。
魔物避け球に火をつけて中に放り込む。
モクモクと煙が、洞穴に充満するが何も出てこない。
よし! 動物、魔物はいないようだ。
今日からここを僕の拠点とする!!
薪に火をつけて一休み。
ふと頭にあることが思い浮かぶ。
ここは異世界。
多分僕は転生者。
…………ゴホン。 お約束があるはず。
では、皆さん、ご唱和ください。
せーの!
「ステータス!」
〝ブン!!〟っと言う音と共に空間にウィンドウが開いた。
「きたーーーーーーーーーー!!」
嬉しさのあまり、思わず大声を上げてガッツポーズしてしまう。
いやいや、それどころではない。
気を落ち着かせてウィンドウを見る。
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名前:ユーラ(ケビン)
年齢:12歳
種族:人間
状態:健康、ホームレス
スキル:植林 Lv.1
▶︎ 一日にレベルと同じ数の木を植えられる。
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うん……微妙。
チートは無く新しく分かったのは〝植林〟スキルのことが少しだけ……とほほ。
速攻でやることが無くなったので、〝植林〟スキルを使うことにした。
いつまで生きられるかわからないから、記念に木でも植えよう。
と言っても、どんな木が植えられるんだろう……前世では桜が好きだったんだけど……。
とりあえずやってみるか。
イメージは桜で!
「スキル〝植林〟!!」
すると、目の前に50cmくらいの苗木が一株現れた。
ぱっと見何の木かはわからない。
きっと桜だろうと勝手に納得する。
では、早速植えよう。
僕はアイテムバックからスコップを取り出すと、洞穴の入り口横に苗木を植える。
その上から水の魔石を使って水を与える。
どうせ長生きできないんだからと出し惜しみはしなかった。
あとすることは……この木の名前だな。
そうだな……名前を〝桜花〟にしよう。
これで桜じゃなかったら、謝って改名すればいい。
「短い期間だけどよろしくね。桜花」
僕はそう言って、苗木を優しく撫でる。
僕の唯一の友達ができ………もともと、城にいたときにも友達はいた……し……。
こうして、僕の荒野ぼっち生活の一日目が終わったのだった。
だから、ぼっちじゃねぇし!!
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同瀬馬野抱枕
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