それ行け! 僕らのトレント団!!〜某国王子がもらったスキルは〝植林〟でした。まぁ、普通に追放だよね(笑)〜
同瀬馬野抱枕
追放と『マルクス王国荒野』生活編
第1話 故郷よ。さようならです。
「あ〜る晴れた〜 ひ〜るさがり〜 荒野へ続くみち〜 に〜ばしゃ〜が〜 ご〜と〜 ご〜と〜 王子〜を乗せて行く〜 かわ〜いい〜 お〜うじが〜 売られてゆ〜く〜よ〜 か〜なしそうな〜 ひと〜みでみているよ〜 ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜 王子をの〜せ〜て〜 ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜 荷馬車がゆれ〜る〜」
〝ガン!!〟
「いい加減にしろ!! ってか、頼む! 頼むから、その気が滅入るような歌を歌うのをやめてくれ!」
御者のおじさんが、僕が入っている荷馬車据付の檻を叩く。
どうやら気にいってくれたようだ。
仕方がないな〜
「あ〜る晴れた〜 ひ〜るさがり〜 荒野へ続くみち〜 に〜ばしゃ〜が〜 ご〜と〜 ご〜と〜 王子〜を乗せて行く〜 かわ〜いい〜 お〜うじが〜 売られてゆ〜く〜よ〜 か〜なしそうな〜 ひと〜みでみているよ〜 ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜 王子をの〜せ〜て〜 ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜 荷馬車がゆれ〜る〜」
もう一度歌ってあげたら、御者のおじさんは泣き出した。
王都からここまでくるまでの9日間。
僕はひたすら『ドナドナ』を歌い続けた。
だって、御者のおじさんが喜ぶんだもん。
っと思ったら、
「本当は、荒野の外れの街まで連れて行く予定だったが……無理だ! 限界だ!」
そう言って、ぶらり途中下車させられました。
ものすごいスピードで戻って行く馬車。
さて困った……炎天下の荒野………。
これは死んだなっと思いつつ、今までのことを思い出す。
これが走馬灯……まだ元気だから違うか(笑)
▼▼▼▼
遡ること10日前。
僕ことマルクス王国第三王子ケビンは12歳を迎え、神々からスキルをいただく授与式に参加していた。
歴代の王様、王子はそれはそれは凄いスキルをもらっていた為、僕にも期待がかかっていた。
僕の家族は、
っで、彼らがどれくらい凄いかって?
人々をまとめ導くのがうまい。
端的にいうと、王の意見が優先され政治をうまく回す事が出来るそうだ。
この国王が即位している間は、その栄華は永遠に続くだろうと言われている。
これはまじでチート。
王妃を見たものは庇護欲に掻き立てられて、なんでも言うことを聞いてしまう。
忌み嫌われている〝魅了〟とは全く違うものらしい。
〝魅了〟が催眠、呪術とすると、〝庇護欲〟は、自己啓発みたいなものだ。
だから〝解除〟や〝状態異常解除〟等の魔法もきかない。
それだけではない。
国を治めることに関して行う政治、行事は、高確率で成功する。
メチャクチャなスキルだ。 次期国王間違いなしだ。
だから、そんな
そんな国、繁栄しかないだろう。
それくらいやばい三人だ。
次に
スキルは〝剣聖〟。
言わなくてもわかるでしょ。
一騎当千の騎士になり、後々は騎士団長にでもなるだろう。
でも、男好きのビッチでよくいじめてくるから嫌いだ。
最後に
スキルは〝行軍〟。
簡単に言えば、戦闘時の軍の捌き方、采配が上手くなる。
ただ、脳筋のバカでなんでも力で解決しようとするから嫌いだ。
下二人のスキル授与はまだ先だが、きっと良いスキルを授かるのだろう。
そして肝心の僕は今、教会で神々からスキルを授けられたのだった!
さぁ、司祭様。 ババーンと発表してく……うるさいですか? すみません。
「マルクス王国第三王子ケビン様が授かったスキルは〝植林〟です!!」
声高らかに宣言してくれる司祭に反して、全員が黙り込む。
………うん? 〝植林〟ってなんぞや?
そんな中、果敢にも父上が司祭に声をかける。
「して、〝植林〟とはなんだ?」
「……木を植え育てるのが上手くなるそうです………」
はい。大爆笑。
第三位とは言え、この国の王子のスキルが〝木を植え育てるのが上手くなる〟だけ?
この場所には、不敬罪という言葉は存在してませんでした。
みんなが大爆笑です。
そんな中、僕だけは違うことを考えていた。
………〝植林〟……〝植林〟………〝植林〟…………。
どこかで聞いたことがある単語………。
思い出せそうで思い出せない。
なんだっけ……う〜ん。
なんか頭が痛くなってきた……あれ、目眩もする……。
そして僕の意識はブラックアウトするのだった。
目を覚ますと、お城の自分の部屋のベッドの上だった。
そして思い出す。
スキルの授与で〝植林〟スキルをいただき……気絶したのと同時に前世の記憶を思い出したことを。
前の自分が誰なのかまではわからない。
ただわかるのは、前世では日本と言う国で生きていたこと。
その世界の知識を持っていることだけだった。
そして、目を覚ましてからが大変だった。
ベッドに寝ている僕のところにきた父が、
「マルクス王国第三王子ケビンは死んだ。お前には平民として荒野にある最果ての街で過ごしてもらう。これは決定だ」
そう言って、あれよあれよと檻付きの馬車に乗せられ、荒野にある最果ての街へと輸送されることになったのだ。
そして冒頭へ。
荷馬車で運ばれる僕。
記憶の底から自然と『ドナドナ』の曲が流れて、口遊んでいたら途中下車させられたのだった。
あぁ、故郷よ。さようなら。
⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘ ⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘
この作品を少しでも気に入ってくれましたら、
☆☆☆→★★★
にしていただけると励みになります。
また、♡、フォローもよろしくです。
同瀬馬野抱枕
⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘ ⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます