第22話
――ビィィィ!!ビィィィ!!
天井の外に向かおうとした時、突如として警告音が鳴り響く。
三機はすぐさまモニターに表示される警告を確認した。
警告音の正体はレーダー上には自身の真上に青く表示されており、その表示が周囲を囲むように発現して増えていく。
「
上を見るとコロニーの天井に空いた穴から
「まずいぞ。大した相手じゃないが天井を塞がれると脱出できないぞ」
「ていうかなんで今出てくるんだよ!タイミング悪すぎだろ!」
「奴らのきまぐれなんて気にするだけ無駄だ。さっさと迎撃するぞキャプテン・プロテクター!」
キャプテン・プロテクターとフォルトゥーナ・スマイルは牽引しているロンズ・デーライトを守るように前衛に出る。
やがて、コロニーの天井の穴からα型が勢いよくこちらに向かって降り注いできた。
「うおおおお!!」
キャプテン・プロテクターは両手に持ったライフルガンで、フォルトゥーナ・スマイルは肩に装備したミサイルで降り注ぐα型を迎撃していく。
――ドドドドドドドド!!
放たれた弾丸やミサイルによってα型は銀色の飛沫を撒き散らしていく。
それでもα型は怯むことなく数の暴力で襲いにかかってくる。
侵入口となった天井の穴はα型の入口となっていて、まるで捻った蛇口からでる水のように勢いよく流れ出るようであった。
「どーすんだこれ!?逃げ場ねーぞ!」
キャプテン・プロテクターが襲い来るα型に狼狽えながら叫び始める。
その言葉を聞いたロンズ・デーライトは片方になった腕に装備されたガトリングガンを入口となった天井の穴に向けて、狙いを定めた。
「強行突破します。あの位置を一斉射撃してください」
狙い祖定める攻撃位置の座標を二機にそれぞれデータを送る。
二機はデータを受信後、三機は弾の限りを尽くすかのように攻撃位置に発射した。
――ドガガガガガガガガ!!!
一斉に放たれるライフルガンとガトリングガンの弾幕。
さらに両手と両肩に装備された各種のミサイルが入口となっている部分に撃ち込まれる。
瞬間的だが放った弾幕の勢いは降り注ぐα型の大群よりも凄まじく、僅かながら侵入してくるα型の勢いを弱らせた。
「今です!私に付いてきてください!」
ロンズ・デーライトが勢いよく跳び、飛翔する。
その背中についていくように二機も同時に飛翔した。
「撃ち続けてください!」
α型の勢いを弱らせるために三機はさらに弾幕を張り続ける。
それぞれのブースターが火を吹き上げ、その勢いで天井付近まで到達した。
「このままクレイアシールドでごり押す!」
キャプテン・プロテクターライフルガンでα型を撃ち続けながらがロンズ・デーライトの先に行くかのように先導し、天井の穴まで飛び上がる。
「うおおおおお!!食らいやがれ!!」
やがて天井の穴の間近まで接近するとキャプテン・プロテクターは機体の表面を纏っているクレイアシールドのエネルギーを急激に増大させていく。
機体の装甲は青く光り続け、やがて強い蛍光色のように移り変わっていく。
――キュィィィン……
――ジュゴォォォォン!!
光り続けた機体は限界点を突破したのか纏っていたクレイアシールドが爆発するかのように四散した。
クレイアシールドのエネルギーを強制的に限界点まで上昇させ、爆破させたその威力はその周囲にいたα型を全て一掃するほどであった。
「今だ!脱出しろ!」
キャプテン・プロテクターの攻撃に巻き添えを食らわないようクレイアシールドで身を守っていたフォルトゥーナ・スマイルとロンズ・デーライトはその爆発と共に天井の穴へと入っていく。
穴の先に抜けると青い爆発の先には薄暗い
天井の外壁に二機が着地すると、すぐそばにキャプテン・プロテクターが鎮座していた。
「まさかあんなごり押しをするとはな」
「クレイアシールドを使った自爆まがいのことを……。中々リスキーなことをしますね……」
「へっ……。こうでもしないと生きて帰れなさそうだと思ったからな。クレイアエネルギーを使いきっちまったが報酬のためならなんともないさ」
「なんていうか……凄い執念だな。エネルギーを使い果してるっぽいが分けてやろうか?」
「優男だなお前。それじゃあその言葉に甘えるかな」
エネルギーが枯渇したせいか機体が膝崩れしているキャプテン・プロテクターの近くをフォルトゥーナ・スマイルが寄る。
その瞬間、天井の外壁に振動が鳴り響いた。
「うおおお!?な、なんだ!?」
「レーダーに
「この振動ってα型の感じじゃないよな……。これは……どうもまいったね」
コロニーの天井で三機は黒い塵が舞う中を互いの背を合わせて警戒する。
やがて目の前には巨大な植物の形をした
「こいつが天井から降ってきたα型の原因って感じか」
「ヤバいぜ……。この状況かなりヤバいぜ!!」
「ッ!!迎撃!!」
β型の頭上にある口からα型が大量に吐き出される。
吐き出されたα型は、疲弊した三機へと降り注いできた。
ロンズ・デーライトがガトリングガンで降り注ぐα型を迎撃し、フォルトゥーナ・スマイルが各種ミサイルをばら撒きながら一部のミサイルをβ型に掃射する。
――ドガガガガガガ!!
――ドォン!ドォン!ドォン!
「キャプテン・プロテクター!奴の核がどこにあるか調べろ!」
「今やってる!やっているが黒い塵のせいかレーダーの反応が悪すぎて使いもにならねぇ!」
「なんとかしろ!」
「なんともならねーよ!」
悪態を付きながらキャプテン・プロテクターも吐き出されるα型の迎撃にその場でライフルガンを使って参戦する。
天井の穴から脱出するために無理をしたせいでしばらく動けないキャプテン・プロテクターを庇うようにフォルトゥーナ・スマイルとロンズ・デーライトが前に出る。
「こんなことになるなら無茶せずに一人で逃げればよかったぜ……」
「こんな状況です。別に今からでも貴方を置いて逃げても良いんですよ?」
「おいおい!それは勘弁だろ!?」
「そう思うなら早くβ型の核反応を特定してください。時間の猶予はあまりありません」
「そうはいってもよ~……。うおおお!?」
β型によって吐き出されたα型が三機の周囲を囲うように展開する。
三機を中心にして円を描くようにα型が回り続けると、やがて勢いよく降り注いできた。
「ッ!!シールド展開!!」
ロンズ・デーライトの片方に残された腕の肩に装備されていた物がパージされ、その場に落ちると、そこから青いドーム状の膜が三機を包み込む。
降り襲い掛かるα型はその青い膜に突撃するが、激突したときに弾かれるように周囲に飛び散っていく。
「なんだこれすげぇなこれは」
「我が社で開発している試作型のクレイアシールド展開装置です。ですが持って三十秒程度しか持ちません。今の内に特定できますか?」
「ダメだ……未だに黒い塵のせいか特定に時間がかかっている……。三十秒じゃ足らねぇ……。」
「……万事休すかこれは」
展開型クレイアシールドが放つ青い膜の中にいる三機に絶望の雰囲気に包まれる。その時、ロンズ・デーライトに牽引されている残骸となったブルー・スワローの胴体が薄く発光し始めた。
ブルー・スワローの発光と同時にキャプテン・プロテクターのモニターに映るβ型の中にある核の位置を表示が現れた。
「で、出たぞ!?核の位置が出たぞ!!」
「マジか!?早く送信しろ!」
「もうやってる!!」
キャプテン・プロテクターからβ型の核の位置をフォルトゥーナ・スマイルは受信すると、全てのミサイルを使い切ろうとβ型に狙いを定める。
「俺があいつをやる。周りは任せたぜ」
やがて三機を纏っているクレイアシールドが切れると同時にフォルトゥーナ・スマイルは両手と両肩のミサイルを発射させた。
「うおおおお!!」
全力で放ったためかフォルトゥーナ・スマイルの全身は煙に覆われ、その中から大量のミサイルがβ型に襲い掛かる。
――ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!
大量のミサイルを核のある場所に一点集中させ、β型を爆破していく。
やがてフォルトゥーナ・スマイルが装備していたミサイルの弾を全て撃ち切ると、それと同時にβ型も炎と共に
「なんとかなったな……」
「はぁぁぁ……危なかったぜ……」
「今回は本当に危険でした……。キャプテン・プロテクターがあの場面で核を特定できなければ全滅していたでしょう」
「正直幸運の女神に見放されたと思っていたが……なんかあったのか?」
「い、いや。なんか急に
「送られてきた……?まさか彼が……?」
ロンズ・デーライトは牽引されているブルー・スワローの方へと視線を送る。
そこには未だに胴体が薄く発光しているのが三機の目に映った。
「やれやれ……キャプテン・プロテクターじゃなくてこいつのお手柄ってことか」
「ちょ、ちょっと待てって。データを受信して送信したのは俺だぞ?」
「まぁいいさ。なんとかなったんだからな」
「それでも彼のおかげというのは間違いありません。しかし、
ロンズ・デーライトはそう言うと、道標に置いてきたビーコンの方へと向かう。
フォルトゥーナ・スマイルとエネルギーを使い果たしたキャプテン・プロテクターは彼女の後を追うように機体を発進させた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます