第122話 新キャラ、グレン・グランハルト
「なんで?」
叔父さんが目を丸くしている。
「なんか話が噛み合ってないっていうか、グレンさんがちょっと当事者意識に欠けてるな、って思った」
「……重ねて面目ござらん。これは……拙者、迂闊でござった……実感に欠けており申した」
もしやこの展開も神々のパワハラの一環なのか。
「拙者の介入、三名様殿を救出するまで、と存じていたでござるが、こうして読者の方々の目にさらされては神でありながら作品内で実働した実績となりますな。まずいでござる」
実働。
実績。
……え、となると?
「それだ!」
そして急に葦原が叫んだ。
「そうだ、それだ!」
ついでに俺も叫んだ
「これですよ!」
「そう、これ!」
俺と葦原が二人だけで盛り上がり、叔父さんも栞さんもグレンさんも、ぽかんとしている。
「これは逆によい機会です!」
「そう!」
葦原と俺は、同じことに気づいたのだろうか?
「第110話を読んで、ざわっとしたんだよ」
俺は叔父さんに話す。
「これは? って。でもなんだかうまく言えなくてさ」
「不肖ワタクシもです! いい考えにつながりそうで、なかなか出てこず、もどかしかったのですぞ!」
これまでグレンさんは、神とはいえ作品世界をどうにかする力を振るうことは不可とされていた。
あくまでここは叔父さんの創造した世界なので。それで慎重にしてきたのだが。
「グレンさんがこのまま新キャラになれば、叔父さん次第で対〈赤の竜〉に神の力が使えるんじゃないの?」
「そう! 心の友よ、ワタクシもそう考えたのだよ!」
俺と葦原がはしゃいでいると、
「否」
ダメ?
そんなもん?
「人間が創り出したものは、人間のものでござる。そこはやはり曲げてはいけないのでござる」
グレンさんの存在、暗躍一択なのか。
ううむ。
三名様をブランカへ戻す展開。
白い蝶の謎を解いたサヤたちと再会させる展開。
グレンさんをこっそり退場させる展開。
この三つを考えないといかんのか。
「じゃあなに。グレンさんは謎のご都合主義キャラになるのか」
それもどうなんだろう。
コメント欄が心配になるなあ。
「〈正体不明だけどどこかの異世界から迷い込んだ人〉、が妥当かなあ」
叔父さんがブツブツ言ってる。
「ちなみに三名の方々をお救い申したあの場所は、」
グレンさん、急に話をもとに戻す。
「この館がある、いつもの〈白の地〉のとある森でござる」
叔父さんとグレンさんがキャンプしたとこか。
「じゃあ、三名様には馬が必要になるのか」
ブランカまでの旅エピソードを加えることになるのか。
「クギバネが大量に逃げてそのまま死んだ件があって、あの地域は一瞬目立ったことがあったよなあ。誰か調査名目とかで通りかからないかなあ」
そうだそうだ。ベルリオーカさんの会議で話題になった。
「やたらとこの家を見つけられても困るけどなあ」
日曜日限定ではあるのだが。
「……拙者がこの森に馬を一頭つないでいたことにすれば、一頭はどうにかなるでござる」
ちょっと話がまとまるか心配になってきた。
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