タロキチ
タロキチは、夕方の散歩の途中。
「あら。グレンさんはいいの?」
なぜか寄らずに通り過ぎようとするタロキチをおばあちゃんは不思議がる。
(なんとなく、はずかしい……)
お腹を出し、油断した姿を皆に見せてしまったこと。
タロキチには重大なことだったらしい。かわいいのに。
(サクラ。おばあちゃん)
帰宅して水を飲みながら、タロキチは思う。
(行って参ります)
「タロキチ?」
急にこてん、と、眠ってしまったタロキチのところにサクラちゃんが駆け寄る。
「ワン」
「眠たいの?」
今のタロキチにはわからない。
さっきまで、自分ではないものが自分の身体を散歩させていた。
「どうぞ」
「ワン」
そいつは時々自分の身体に入り、何か活動をしているのだ。なんだか込み入ったわけがあるようで、よく聞かされてもわからないことばかりなのだが……
サクラとおばあちゃんに甘える役目、美味しいごはんを食べる役目はこうして譲ってもらえるので、なんとなく今のところ許しているのだった。
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