エピソード8 〈白の地〉では何が起こっているのか

栞さんとグレン氏

 期末試験なのに。


 煮詰まると別なことをしがちなのは、誰もが経験することで。


 栞さんはスマホを手にするとSNSや小説投稿サイトを開いてしまいそうになるので、別な部屋に置いてみたり、電源を切ってみたり、無駄とも思われる抵抗を試みていたのだが……


「……★って、なかなかつかないなあ」


 気がつくと、ぼんやり画面をながめて、そんなことをつぶやいてしまうのだった。


 評価の指標にだけ、こだわるわけじゃないけど。まだまだ下手だし、今は力をつけて、納得できるとこまで書けたら、と思っているけど。


「弱気なときに、★が増えない現実を見るのはきついな」


 そういえば。


「グレンさんて、創作物の神様だよね。【★がつくようになりたいんです】、とか、そういうの受け付けたりするのかな」


 そのタイミングで、通知が。


「え?」


 自分の小説の最新話についたコメントが、グレン氏のものだった。


『第7話へのコメント:


グレン


20xx年x月x日 22:00


それは拙者の担当ではなく、〈栄誉の神〉の担当でござる。

創作が賞賛される栄誉は拙者の営業努力次第で、申し訳ござらん』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 え、なになに? これグレンさん?

 それはいいけど、こんなの世間にさらしていい内容? 一応、神様たちの話でしょ?


 あ、削除された。


「え。なにこれこわい」

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