第140話さるは、宮の御心あかぬところなく(8)斎院と中宮御所の女房の違いについて
そのほかの上達部、宮の御方に参り馴れ、ものをも啓せさせたまふは、おのおの、心寄せの人、おのづからとりどりにほの知りつつ、その人ない折は、すさまじげに思ひて、たち出づる人びとの、ことにふれつつ、この宮わたりのこと、「埋もれたり」など言ふべかめるも、ことわりにはべり。
その他の上達部で、中宮の御所に通い慣れていて、中宮様への、しかるべき言上を取り次がせる必要をお持ちの方々は、それぞれ、気持ちが通じる女房がいて、しだいに懇意ともなり、やり取りをなされております。
そういうことなので、その女房が不在の場合は、落胆してしまい、そのまま帰られてしまうのです。
このような方々が、ことにふれて、この中宮御所のことを、「世間から埋もれてしまっている」と
噂されるのも、致し方ないと思います。
中宮に取り次ぐべき、重要な案件もあるかもしれない。
しかし、これでは、「職場」としての、中宮御所は機能不全とも言える。
紫式部が、そう感じていれば、「改善しましょう」と言うことができればいいけれど、それが出来ないのが、紫式部の性格でもあり、低い身分なのである。
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