第138話さるは、宮の御心あかぬところなく(6)斎院と中宮御所の女房の違いについて
まづは、宮の大夫参りたまひて、啓せさせたまふべきことありける折に、いとあえかに児めいたまふ上臈たちは、対面したまふことかたし。また会ひても、何ごとをかはかばかしくのたまふべくも見えず。言葉の足るまじきにもあらず、心の及ぶまじきにもはべらねど、つつまし、恥づかしと思ふに、ひがごともせらるるを、あいなし、すべて聞かれじと、ほのかなるけはひをも見えじ。
一つの例になりますが、中宮の大夫が参上なされ、(女房が)中宮様に言上を取り次ぐべき折りに、実に頼りがいがなく、子供そのものの上臈たちは、応対に出るとかは、ほとんどありません。また、応対に出られたとしても、何一つ、はっきりとお話もできません。言葉足らずでもなく、配慮に欠けている、のではないのですが、気後れをしている、恥ずかしいと思い込んでしまうので、つい、失敗をしてしまうのです。そういう失態が嫌で、そんな恥ずかしい思いをするなら、一言でも、声を聞かれたくない、居留守を使おうとするのだと思います。
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