第133話さるは、宮の御心あかぬところなく(1)斎院と中宮御所の女房の違いについて
さるは、宮の御心あかぬところなく、らうらうじく心にくくおはしますものを、あまりものづつみせさせたまへる御心に、何とも言ひ出でじ、言ひ出でたらむも、後ろやすく恥なき人は、世にかたいものとおぼしならひたり。
それというのも、そもそも中宮様は、全く完璧なお方であって、上品で奥ゆかしい、あまりにもご自分のお気持ちを抑えてしまう、そんな御性格。
「口出しなどはしません」「口出しをしたとしても、信頼を寄せ切ることができる、万が一にも、自分たちが恥をかかないですむ、そんな女房なんて、まず存在しない」と考える、自分の「こうして欲しい」と欲する気持ちを抑え込んでしまう習慣が身にしみこんでおられるのです。
紫式部には、上司である中宮の「あまりにも自分の欲求を口にしない性格」を批判することはできない。
ただ、その慎重極まる性格が、中宮付きの女房全体を覆う「消極的、余計なことは一切しない」雰囲気に影響している、との論を展開し始める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます