第122話若人の中に容貌よしと思へるは、(1)

若人の中に容貌よしと思へるは、小大輔、源式部など。大輔はささやかなる人の、やうだいいと今めかしきさまして、髪うるはしく、もとはいとこちたくて、丈に一尺余あまりたりけるを、落ち細りてはべり。顔もかどかどしう、あなをかしの人やとぞ見えてはべる。容貌は直すべきところなし。源式部は、丈よきほどにそびやかなるほどにて、顔こまやかに、見るままにいとをかしく、らうたげなるけはひ、ものきよくかはらかに、人のむすめとおぼゆるさましたり。


※こちたくて:とにかく量が多くて

※かどかどしう:理知的な感じで

※かはらか:さっぱりとしていること


中宮様付きの、若い女房たちの中で、容姿に優れていると思うのは、小大輔、源式部などです。

大輔は、小柄な人で、容姿は実に今風、髪の毛も麗しくて、以前は実に豊かで背丈より一尺以上長くしていたけれど、今は抜けて少なくなっています。お顔は理性的な感じ、「本当に魅力的なお人」と見えます。

そんなことで、容姿については、直すべきところはありません。

源式部は、背丈は程よく高くて、お顔は整っていて、見れば見るほど素敵な感じ、可愛らしく、それでいて清潔感があり、名門の家のお嬢様、そんな雰囲気があります。


紫式部により若い女房たちのレポートである。

芸能記者のような感覚で書いているような感じがある。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る