第120話このついでに、人の容貌を語りきこえさせば、(3)

宮の内侍ぞ、またいときよげなる人。丈だちいとよきほどなるが、ゐたるさま、姿つき、いとものものしく、今めいたるやうだいにて、こまかにとりたててをかしげにも見えぬものから、いとものきよげにそびそびしく、なか高き顔して、色のあはひ白さなど、人にすぐれたり。頭つき、髪ざし、額つきなどぞ、あなものきよげと見えて、はなやかに愛敬づきたる。ただありにもてなして、心ざまなどもめやすく、つゆばかりいづかたざまにも後ろめたいかたなく、すべてさこそあらめと、人の例にしつべき人がらなり。艶がりよしめくかたはなし。


宮の内侍もまた、綺麗なお方です。

背丈は、ほど良いくらいで、中宮様の御前にいる雰囲気は実に立派で、すっきりと現代風、特に細かく、どの部分がどう、ということはないのですが、とにかく清楚にすっきりしておりますし、鼻筋が通ったお顔だち、(黒い髪の毛と)釣り合いがとれた、お顔の白さなど、他の人よりは、秀でておられます。

頭の形、前髪、額の様子など、「なんと可愛らしく素敵」と思われるほどに、華やかな雰囲気で魅力にあふれているのです。

立ち居振る舞いも、素直で好感が持てますし、そのご性格も親しみやすく、全く何においても気がかりなことがなく、すべて「女房とは、このようであるべき」と、お手本にするべきようなお人柄なのです。(そのうえ)少しも風流ぶってみたりすることは、ないのですから。


宮の内侍は、中宮付きの女房。内務(事務的な職務)を務める女房。

批判好きの紫式部をして、「女房とは、このようであるべき」と激賞させるほどの女性である。

実際、どれほどの女性か、拝見してみたいところであるが、かなわぬ望みである。

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