第2話 私のせいだ
そんなある日、会社に行くと大変なことになっていた。
由美が間違って100倍多くの原料を発注してしまったのだ。
完全に初歩的なミスである。
このミスは会社にとってかなりの大損害だった。
由美は出社早々に上司から呼び出され、「一体どういうことだ!」と上司に怒鳴られた。
由美は「これは私のせいではないですよ。ちょっと待っててください」と席を外した。
上司が呼ぶ声から逃げるように由美は更衣室に向かった。
由美は自分のロッカーの中にある鞄からセイウチを取り出し、今回の発注ミスを同期の玲奈のせいにするようセイウチにお願いした。
由美が席に戻ると、さっきまで由美にキレ散らかしていた上司が玲奈に怒っていた。
玲奈は泣きながらひたすら「すみませんでした」を連呼していた。
言い様だ。
由美は思った。
日頃から玲奈にはイラついていた。
事あるごとに彼氏の自慢やマウンティングしてくるのだ。
翌日、玲奈は発注ミスの件で気を病み、会社を休んだ。
また翌日も玲奈は休んだ。
最終的に彼女は休職することになった。
どうやら玲奈は鬱病になったとのことだった。
ここまで来ると流石の由美も罪悪感が芽生えた。
その芽生えた罪悪感は増していき、ついに由美はこんな気持ちになったのは誰のせいだろうと考えるようになった。
ふとセイウチが視界に入った。
「あっ、こいつのせいだ」と由美は呟いた。
そして、由美はセイウチに言った。
「こんなに私が苦しいのはお前のせいだ」
すると、セイウチの顔が鬼のような形相になり、「そんなに責任が取れないなら赤ん坊に戻れ」と言い放った。
あまりにもビックリして由美は気を失った。
目を覚ますと暖かく誰かの腕の中で抱かれていた。
オマエノセイウチ @noberu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます