最終話 幸せのかたち

 法子と政志はお互いをさらに知り、もっと一緒に居たいと

それぞれが、心の中で思い合っていた。


普通に歩いているだけでも、二人に周辺には何か穏やかな

空気感が漂っているようだった。


「どこに行こうか。」


政志は、場所を変えるといったものの特に考えていなかったので

思わず、法子に尋ねてしまった。

本当なら、もっとリードした所だけど、、法子とは自然体でいたい。


「私行きたいところあるの」


と、法子はどこか行きたい場所があるようで、政志の質問を

好意的にとらえていた。


政志は、法子の訪れたいと言う場所へ行くことにして

二人で移動を始めた。


 法子の行きたい場所はここから少し離れていて、電車を使って移動しないと

行けない、場所であったければ、そんな移動中も二人は今までの事やお互いが会っていなかったときの事などを、話ながら楽しそうに目的地へ向かって行った。


二人でいると全く退屈しないな。と政志はそう思っていた。

目的地まで、法子の笑顔を見ながらだったので余計だ。


そして、法子の提案してくれた場所までは思いのほか、すぐの到着した。

実際の移動時間は30分くらいだろうか。


二人で話ながらだったので、体感としてはあっといううまで、5分程度しかたって

いない感じだった。


「結構、近かったね」

「うん、前から来たかったんだ」


そう言って、法子は公園の中へ俺を促しながら入っていく。

公園の中は、季節柄かところどころ綺麗なイルミネーションで

飾られていた。


 公園の奥まで進んでいくを大きな噴水があり、そこもイルミネーションで

綺麗に色づいており、水と光が素晴らしいコントラストを演出していた、


「綺麗だね」

と言う俺の言葉を遮るように、法子は。

「ちょとっと待ってて、もうすぐ始まると思うから」


俺は、なにが始まるのだろうと思いながら、法子が噴水の方を見ているので

同じ方向を見ながら、噴水の前で始まる、何かを待っていた。


時間にしたら2・3分だろうか。法子と二人横並びで待っていると、

どこからともなく音楽が鳴り響き、噴水と光がその音楽に合わせるように

動き出していた。


まるで、水と光が音楽を聴いてい踊っているかのように、

本当に綺麗で躍動感のあるショーだ。


 そんな、見る者の目を釘付けにするであろう、ショーを見ながらふと、法子の方に目をやると、法子は今までに見た事の無いような笑顔でショーに見とれていた。


その姿を見ていると、噴水のショーの臨場感もあってか、いつもの数百倍法子が可愛く、美しいと。


そう思って、俺は噴水のショーより法子に見惚れていた。


 その噴水のショーは迫力もあり素晴らしかったこともあってか、

すぐに終わってしまった印象だった。


終わってしまった後は、音楽や光、臨場感などのせいもあってか、一瞬の静寂が

俺たちの周りを包んでいた。


そして、俺は居ても立ってもいられなくなり。


「法子」と彼女の名前を呼び、振り返るとほぼ同時に、彼女の身体を自分の方に引き寄せて。


抱きしめていた。


法子は少し驚いた様子であったが、そんないきなりの俺の行動を受け入れてくれて、

優しく「どうしたの」とそう聞いてきた。


俺は、ショーを見て、法子に見惚れている間考えていた。


いや、もっと前からか。


法子へ思いを伝えるには今しかないとそう思った。


「法子、いろいろ問題を抱えている俺だけど、俺法子のこと好きだから。」

「僕と付き合ってもらえませんか」


そう法子に、正直な気持ちを伝えていた。


法子は抱きしめられているなか、腕を俺の後ろに回してきて、抱きしめ返してくれた。

「こんな、私で良かったら、お願いします。」


と、少し照れくさそうに、そう言ってくれた。


お互い、抱き合ったままだったから、その表情は見えないけど

伝わってくる体温で、お互いの感情を理解し合うことが出来た。


俺たちは、その後、公園内のイルミネーションを一通り見て回った。

来た時と違うのは、二人で手を繋ぎ若干ニヤケながら見て回った事だろうか。


美香との時も感じたけれど、思いの伝わったあとは、なんか恥ずかしい思いと

嬉しさと楽しさとが同居してものすごい、幸せを感じる事が出来ていると

そう感じていた。


そして、俺たちは来た道を、時間をかけて帰っていった。

中々、今日さよならをするのが、寂しくなって。


お互い離れたくなかったが、明日のことなどを考えると無理は

出来ないなとそう思い。


少し、遠回りをして僕は、法子を家まで送り届けた。


「明日仕事早いんでしょ?大丈夫」


法子の声が、いつも以上に優しく聞こえてくる「


「大丈夫だよ」


そう返事をしながら、法子が部屋の鍵を開けながら、名残り惜しそうに

こちらを見つめて来ていた。


昔なら、法子の家に泊まりたいと思うところだろうけど、

今は少し違うと思って、俺は自分の家に帰ることを選んだ。


法子は、そんな俺を一瞬見つめてから、ふいに#キス#をしてくれた。


俺は、一瞬の出来事で棒立ちに成りながら、照れ笑いをしていた。


「じゃー、おやすみ」


「うん。おやすみ」


そう言って、俺は法子が部屋に入っていくのを見届けてから

自分の家へ帰って行った。


自分の家のドアを開けて、ドアの傍にある廊下の電気を付けようかと

て伸ばした時に、突然自分のスマホが鳴った。


 電話は法子からだった。


「どうしたの?なにかあった?」


俺は、突然の電話でいきなり何かあったのか。と心配になった。


「ううん。一ついい忘れちゃった事があって」


なんだろうと、俺が考えている隙に。


「私も、スキだよ。政志」

「じゃ、おやすみ」


俺は、身体中が熱くなるのを感じていた。

確かに、自分では言ったけど、法子からは聞いていないか。


法子も自分と同じような感覚を抱いてくれていたら良いな。と

政志は心の中で思っていた。


そんな、法子からの告白を聴いたからか、いつもは薄暗く感じる

自分の部屋が、いつもより明るくなった気がしていた。


 きっと、どんな状態であっても、好きを愛を諦めたらダメなんだろう。


自分も諦めそうになった事は、一度や二度では無かったけど、


最後に法子と再会出来て、彼女の好きが自分を救ってくれた。


他人が普通に出来る事が出来ない。

それは、一見すると不幸にも写る。


でも、決して他人に出来ることが、出来なくても幸せになれないわけじゃない。


”普通にヤレなくても、通じ合えれば幸せになれる”


彼女の存在が、俺にそれを教えてくれた。


今日までの一連の出来事はきっと、俺にこの事を気づかせてくれる為にあった。


そう思わせてくれるほどに、今見える世界は輝いて見えていた。




 



                                    fin

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普通にヤレる事の幸せ 戸松 亮 @tomatsu-baccasu-ryou

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