第13話 初彼女と新たな事実④
少し、薄暗いバーの一番奥の席で俺は、小澤美香と一次会の続きを
二人で行ていた。
未成年の俺は当然、ウーロン茶とかそう言ったノンアルコールの飲み物と
出されたおつまみを食べながら、軽い雑談をしていた。
小澤美香は俺の、一つ上だったので、お酒も飲んでおり、
時折「少しくらい良いんじゃない。」と小澤美香の飲んでいるカクテルを、
からかわれ気味に進められたりしたが、バーなんて来たこともなかったので
その場にいるだけで対象緊張してしまっており、面白い返しも出来ず、
「未成年なんで大丈夫っす」と明らかにつまらない返答をしていた。
小澤美香からも「ふぅん、つまんないの」と本当につまらなそうに
返されたりしていたが、それでも、
時折見せる小澤美香のはにかんだ笑顔は、場所の影響やシュチュエーションも
あるのか、先程、一次会で見せていたそれよりも、遥かに可愛く、
妖艶に映っていた。
「政志君はどこら辺に住んでるんだっけ?」
とふいに問いかけられたので、咄嗟に出た言葉は、
「ここからそんなに遠くないですよ」だった。
いや、どこ?と返されそうな返答をしまっていた。
こんな時はどこどこ駅とか、OO町とか言うものだろうけど、今まで
女性からそんなこと聞かれた事が無かったのでまたしても、うまく返事をする事が出来ないでいた。
そんな、俺の心情を知ってか、知らずか。
小澤美香は、「じゃ、今晩泊めてよ」と屈託ない笑顔で、ストレートに
伝えて来た。
俺は”えっ”と思うことしか出来ず、しばらく、この世界の時間が静止したのではないかと疑う程に、思考停止して、固まってしまっていた。
”今、なんて言った?”
”泊めてって、家にだよな?”
と、そんな事が頭の中を駆け巡るだけで、俺は中々、小澤美香からの申し出に対して返答出来ずにいた。
小澤美香も、お酒のせいもあるだろうけど、多少顔を赤らめながら俺からの
返事を待っているようすであった。
このまま、再び小澤美香から何か言わせてしまうのも男としてどうしたものかと
静止した思考の中で、何とか考え、俺は、「どこにですか?」とかなり
トンチンカンな回答をしてしまってした。
さすがの小澤美香もこの回答は予想していなかったようで吹き出しながら
「君の家に決まってるじゃん」と笑いながら言っていた。
俺も、そうだよなと思いながら、一緒に笑い、すみませんとなぜか謝りながら
かなり恥ずかしくなっていた。
この時の俺は、顔から火が出そうだったので、かなり赤くなっていたのだと思う。
「お酒飲んでないのみ、顔真っ赤だよ」と言われる始末だった。
「それで、どうかな?泊めてくれる?」と
再び、小澤美香はストレートな質問を俺に投げかけて来ていた。
俺も、二回目のこの質問には、誠実に答えなければいけないと、そう思って
いたけど、回答にはかなりの勇気が必要で、言葉に表すまでに、体感では
かなりの時間を要してしまった。
静かに、俺の回答を待っている彼女に対して俺は、「俺の家で良ければ、大丈夫ですよ」と今度は何とか、思っている事を彼女へ伝える事が出来たと思った。
「良かった、じゃ、案内してね」と彼女はここぞとばかりに屈託のない笑顔で俺の手を引いて、店を出るように促すのだった。
そんな俺の、引かれている手は初めてずくしで、若干震えていたように思う。
そうして、俺は彼女を案内しながら家路を歩いていた。
いつもなら、一人で帰る道のりも今日は不思議と、明るい感じがしていた。
女性と一緒に帰るとはこんなにも、心を弾ませてくれるものかと、そう思ってい
隣を歩いている。
中学校時代に”葉山法子”と登下校をしていた時の楽しさとは、また別の楽しさだった。
緊張とワクワクと、嬉しさのような、よくわからない感情は、俺の中を駆け巡いる。
家路を歩く時にこんな、余裕が無いと時なんて、今では感じた事がない。
そうこう考えている内に、自分の借りているマンションまで、もうすぐそこまで
辿り着いていた。
俺は、「もうすぐ着きますよ」と彼女に、現在地を伝えながら、家のそばの角を曲がり、マンションの目の前までやって来ていた。
「以外と近かったね。もっと歩くかと思ってた。」
そう彼女が、感想を述べている間に、俺は家のドアの鍵を開けて彼女を家に
招き入れてた。
「お邪魔しまーす」と若干酔っぱらっている彼女は、深夜のテンションで
大きめに挨拶をして、お構い無く俺の部屋に上がっていく。
「へぇ~、意外に綺麗好きなの?もっと汚いかと思った」
率直な感想だった、俺がもし、同世代の男の家に行くとなると
当然汚い部屋を想像してしまう。
この時ばかりは、部屋を綺麗にしていて良かったと、心の底から思っていた。
これ以上、自分の恥ずかしい姿を見られたら正直、耐えられる気がしなかった。
俺は、家に用意しているお茶をコップに注いで、彼女へ渡した。
彼女は、若干驚きながらも「気が利くじゃん」と微笑みながら、手渡された
お茶を飲みながら、今日の合コンのメンバーの話や、これまでの生い立ちなどを
お互い話て、時折笑いながら、より深くどういう人物なのかを知っていった。
そうして、お互いの話も一区切りついた頃、彼女は「そろそろ寝ようか」と
まぁ、もう深夜の2時を回っているし、俺もかなり眠かったのだけれど、さすがに
それは、まずいのではないかと、内心かなりドキドキしながらどう返事をしたものか
また、迷っていた。
「また、迷ってるww」と彼女は茶化しながら俺の頭を撫でてきた。
「照れている顔、かわい」と彼女はどこか妖艶な雰囲気を醸し出している
彼女は、俺からの返事を待っている様子だった。
その感じは、まだ経験のない俺でも十分に分かるほど、良い雰囲気でドキドキが止まらなかった。
言葉に出来ずに俺は、彼女の目を見つめながら無意識に彼女を抱き寄せていた。
「ちょっと、いきなりはダメだよ」
そう彼女は、言いながらも強く拒否することは無く、お互いそこからは、言葉も交わさずに、同意の意味を込めて唇を重ねていた。
正直、そこから先はあまり記憶が定かではじゃなかった。
正直、初めての経験だったので、何をどうするかも思いつかない程に
緊張と興奮が行ったり来たりしていた。
そん中、彼女がボソッと「なかなか、元気にならないね」と俺の息子を触りながらそう伝えて来た。
確かに、まったく反応しないわけでは無いけど、彼女と一つになるには不十分過ぎる状態であった。
何とかならないかと思ってはみたものの、どうしようも無く、自分でもどうしたら良いのか、正直分からなかった。
「そんなに緊張してたの?」と聞かれ、俺ななんと無く頷いていた。
そんな俺の姿を見て彼女は何か悟ったように笑って、
「今日は、もう遅いし寝よっか」と、そう伝えて来た。
俺も、この先どうして良いか分からなかったので、彼女の申しでを快諾することにしていた。
ぼんやりと、電気のついていない部屋に写る、彼女の少し寂しそうな
表情を見ながら俺は、狭いシングルベットで彼女を抱き寄せるようにして、体を寄せ合いながら眠りについて行った。
そうして、俺たちの初めての夜は終わりを迎えた。
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