第15話 彼の苦悩を知る勇気

法子は美香へ、幼馴染である政志についてと、今回起きた事について、かなり言葉選びながら、美香に相談をしていた。


自分配慮足りなかったことや理解してあげられない所、罪悪感感じている事が他人から見ても見て取れるほど、彼女は自分を責める姿は、まるで神に懺悔でもしているかの様だった。


政志はそれほど大事な存在であったにも関わらず、自分の無神経さで彼を

深く気づ付けてしまった事を、法子はひどく後悔していた。


美香は終始、法子の話しを「うんうん」と頷きながら

法子の話をいつも以上に真剣の聞いていた。


 いつも、真面目に相談にのっていない訳では決して

無いのだけれども、だいたいただの愚痴を、お互い言い合う程度の場合多い。


ただ、今回の件は事情が明らかに違う事が読み取れた為と、美香の中ではもう一つ気になる点があったからだ。


「そっか。それは相手の人にも辛い思いをさせちゃったね」


「ところでは、その人の写真とかある?」

との美香からの申し出に法子は今にも、泣き出しそうな表情の中、困惑した。


政志の写真まで見せる必要は?と心の中では思っていたが、隠す理由も特に見当たらないので、この間の食事会の時に撮った写真を美香へ見せることに。


美香は、写真を見ると少し困惑した表情を浮かべながら、スマホを返してきた。


「どういったらいいのかな?」


美香も予想が当たっていたとは言え、半分は外れて欲しいと思っていた節もあり

政志との関係を言い出すことが中々出来ずにいた。


 少し、変な沈黙が和がれた後、意を決した感じで

美香は政志と関係を法子へ話そうと誓った。


当然、全てを話せば法子に嫌われる可能性高いけど、それでも、

隠し徹すよりはよっぽど良い。


それこそ、違う人達から、法子が聞いたりした方が最悪だろう。


「ねぇ、法子。これから話すこと最後まで聞いてくれる?」と一応、同意を取ってから、美香は政志と関係を話しはじめたのだった。


法子は美香からの話しを、聞きながら、色々感情が自分の中に湧いてきている事に、気づいていた。


 当惑や怒り、嫉妬心など多くの負の感情が湧いてきていた。

決して自分も人のことを言えた義理ではないのは十分わかっているのだけれど。


それでも、自分の湧き出る感情は抑えきれなかった、法子は

今にも溢れ出しそうな涙を必死にこらえながら、美香の話の耳傾けていた。


まさか、美香先輩と政志が過去付き合っていたなんて、夢にも思わなかったし

政志の苦悩の原因の一人でもあった事に、驚きを隠せなかった。


それでも、自分も含めた政志への仕打ち政志事を思うと、最後まで聞いて、

今、政志が何をして欲しいのか、私はどうしたらいいのか、しっかり考えないとと

心の片隅で法子は強く思っていた。


「ありがとう、最後まで聞いてくれて。」

そう言う美香の目には涙が薄っすら溜まっていた。


「最低だよね。私」

当時の自分を思い出して恥じている姿は、美香悪気があって政志にした仕打ちではないことは、よくわかった。


私も、政志にしてしまった事、言ってしまった事は悪意があって、言葉にしたわけでは無かった。

きっと、美香先輩もそうなんだろう。


「私も、最低です。政志の事何も考えてなかった。」


「でも、大丈夫だよ。」

と美香は、優しく法子を励ますように言った。


まだ、法子と政志は何も始まっていない。

自分と同じようにならないようにするため。


美香は法子の背中を押して、政志との関係を修復して欲しいと

そう、考えていた。


「政志の抱えている問題は、簡単に解決出来ることじゃないけど」

「でも、彼の状態や悩みの種をしっかりしることは出来ると思うの」

そう、美香は法子に促した。


 今や、インターネットは発達しているし、クリニックだって、沢山あるのだからあ

政志の苦悩の理由を知ることは出来ないことじゃないとそう美香は語った。

クリニックなどw訪ねれば、色々と教えてくれるはずだと。


「じゃ、美香先輩も一緒に」


美香は、首を横に振りながら、「私はダメだよ、色々調べたりしたけど、もう彼には...」


そう伝え、悲しそうな顔をして美香は、分で調べた事を法子へ語った。

EDや包茎など、男性特有の性の悩みについて自分で調べた限りを法子へ。


政志以外にも悩んでいる人がいる事を知っても尚、美香は政志に連絡をとる

勇気が無かった。それを知った時、美香はもう、政志には合わないと決めていた。


だから、まだ始まっていない法子と彼の物語を何とか繋いで自分とは違う未来を引き寄せて欲しいと美香はそう願って法子の背中を押した。


美香から様々な話を聞いて、法子は政志の悩みについて真剣に向かい合おうを、そう決めて、美香に対して。


「ありがとうござます。辛い思い出も話してもらって。」

「私は、まだ、政志を諦めたくないから、また会いに行きます」


法子のその一言は、今までにない程力強く、目にも覚悟が写って見えた。


 そして、法子は美香にもう一度お礼の言葉を述べてから、美香より先に店を出て行った。その足取りはどことなく軽やかで、先程までうつむいて、泣きそうだった姿が嘘の様だった。


「がんばれ、法子」


美香は、誰にも聞こえないであろうエールをの法子へ呟き、残されたグラスを空にした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る