第10話 初彼女と新たな事実①


 高校卒業後、俺は、高校や中学の友達やクラスメイトのいない土地へ

行くとあの虐められた日から決心していた。

 

 大学進学と就職も政志にとっては、たいした問題にはならず、地元より離れた場所に本社のある会社を数社受ける事にしていた。


高卒で就職するのだから、そこまで大きな会社を希望するわけでは無く

ただ、この町を出て自分ひとりで生計を立てって行きたい気持ちが高校性の

政志の中では、勝っていたのだった。

 

唯一苦労した点と言えば、進学では無くし、就職する事を親に成っとくしてもらう為に、本当の理由を伝えること無く、納得してもらうことだった。


 当然、親としては、息子は大学へ進学するものだと思っていた為、就職する方向へ進む事に対しての説得は、なかなか、難航した。

幸運なことに、自分の家は、一人息子を私立大学へ進学させる程度には裕福?であったので余計にそうだった。


失礼な言い回しだけど、この時ほど、自分の家が貧乏だったらと思った事は無い。

もしも、仮に大学進学が出来る余裕が無ければ、家族の為に働き、家へ仕送りを数万円入れる為、と言う大義名分を得ることが出来た為、この時だけは、その方が良かったと、頭の中で考えていたのを思いだす。


そうは言っても、当の本人が進学するは、無いのだから大学は受験せずに就職一本で

活動を行い、内定をもらってからは親も、無理やり納得させる事が出来た。


正直、内心はそれでも大学進学をして、それなりの会社へ就職をしてほしかったのだろうけど。

今は、大企業でも安泰とは言えない時代だし、高卒でも出来る事はたくさんあると思うし、とにかく、今の生活より断然いいだろうと考えていた。


 就職内定をもらってから、卒業までは、あまり学校には行かず”地元の学校は就職た進学が決まった生徒は無理に学校へ行かなくても良かった”働く為にビジネス書を読んだり、動画で勉強したりして日常を過ごしていた。


それでも、登校日は来るもので週2回は学校へ行っていた。ただ、クラスも受験一色な為か、俺への虐めもそこまでひどいものではなかった。


 「就職するなんて、あいつ馬鹿だろ」

程度だったので、とにかく、シカトを続けて」、卒業まで乗り切った。



 そして、地元から離れた場所で、仕事を始めた俺は、

会社からの少し離れた所アパートを借りて一人暮らしを始めていた。


 悠々自適な、社会人一人暮らしだった。

高校卒業したてのおれからしたら、19歳でひとり暮らしが出来る程度のお金があり

それなりに、満足していた。


良かったことに、会社の同僚たちもいい人達だったので、社畜とか言われている世間の評価より、かなり充実した日々を俺は過ごすことが出来ていたことに、当時は若干の感動すら覚えていた。


 そして、就職して数か月がたったころ、ようやく給料を毎月数万円貯金していたお金が目標額までたまったので、俺は高校卒業後すぐに就職を決めた本当の理由を実行する為に、決めていた病院を訪れる事にした。


 なぜ、病院を訪れたか、と言うと、俺は高校時代に馬鹿にされながらも

”包茎って治せるのか?”と考えていた。


 そして、高校性ながらいろいろ調べて、俺は手術可能であることを知った俺は、

いずれ手術を受けようと決めていた。


 親に言えば手術費用は負担してくれたかもしれないけど、なんとなく恥ずかして、親にも馬鹿にされるんじゃないかと思ったりした言い出せなかった。

だから、高校卒業後に就職してお金を稼ぎ、一日でも早く手術が出来るように、節約し資金を貯めていたのだ。


 包茎手術をネットで調べると、数万円から数十万円は掛かる手術であることが書かれているサイトや記事がほとんどだった。


 数十万円の手術費って高くないかと思っていたが、どうやら保険適用の治療ではなく自費診療のため、これだけの費用が掛かるようだ。


 内心は”いや、死活問題だから保険適用にしてくれよ”と思っていたが、

こればかりは、致し方ない。

包茎の種類によっては保険適用もあるようだけれどこの時は、とにかく

自分で何とかしようと、思っていたので、そこまで考え付かなかった。


 色々と病院を知れべて行くうちに、包茎手術にも、色々と種類があり

ただ、包茎を治すだけの手術から、見た目をきれいに見せる美容整形的な手術

ヒアルロン酸を注入したりと色々な種類が見て取れた。


 病院もいくつものサイトがヒットしたので、正直どこが良いのか分からずに、

いたので、就職後にすぐに手術を行うのではなく、仕事にもある程度慣れてお金も

頭金程度は貯めてから実行しようと決めていた。


 手術自体は、1~2時間程度で終わるとの事だが、数週間は運動禁止などがあったし数日間は痛いかもしれないなどを考え、長期連休中に実行する計画を立てていたのだ。


そして、ついに手術当日がやってきた。


 病院は思っていいた以上に綺麗で、美容整形のクリニック(脱毛とかの)に近かった印象だった。


事前にネットで予約を行ったいたので、受付で名前を告げるとすぐに診察室に

案内された。


 そこでは、クリニックの先生と一対一でカウンセリングを行った

当然患部を見せるので、下半身のみ裸の、あまりにも恥ずかしい状態で、自分の息子の状態や手術方法、オプションなんかの説明を受けた。


 手術は当日行うことも、後日とすることも可能だったけど、それは当日実施する事にした。

正直、手術に対して、不安が無いわけでは無かった、人にも相談せずに、一人でモンモンと考えていたので、怖さや術後の不安もあったけど、ここで引き返すわけにはいかないと思って、何とか受けますと、そう先生に告げた気がする。


 手術台に寝ころび、局部麻酔を何回か行った。

歯医者での麻酔の時に行うように、一度患部を麻痺させてから、本番の麻酔を行う。


俺の息子は、皮と本体?の癒着も酷いようで、電気メス?のようなもので皮と本体を分離するように、焼き切っていった。


若干の恐怖で手に汗を掻きながら、焼き切れるときの嫌な匂いが今でも鼻に残っている感じがわずかにする。


 必死に恐怖と戦っている中、隣では同じような悩みで訪れたであろう男性の声が聞こえ、同じように手術が始まろうとしていたが、その男性はあまりの恐怖や不安から

カーテンを挟んでいても、分かる程度に息遣いが荒くなるのが分かった。


そして隣の男性は「やっぱり出来ません。」と言って、一度診察室を出て行ったようだった。


正直、俺もその気持ちは痛いほどわかるが、少しだけ、自分は勇気があるなと、

少しだけ勝った気になっていた。


そんな事を考えている内に、手術は完了していた。

終わってみると、意外にあっさりとした手術で、特に手術中に痛みとかわなかった。


術後の担当してくれた先生から、今後の注意事項などの説明を受けてから、

俺は、担当してくれた先生の軽くお礼を伝え、会計を済ませてクリニックを後にした。


若干、自分の息子に違和感(手術後だから仕方ない)を覚えながら、

でも、来る前より確実に湧いてくる自信を感じながら、俺は家路についたのだった。


これからの、災難も知らずに。











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