第11話 ミアと多恵の旅立ち

家に戻ると、「こんな遅くまでどこに行ってたの?心配するじゃない。」とマリアが慌てた様子で出迎えた。それを見た多恵は、ミアを連れていくべきではないと思った。

そして、「マリアちゃん、話があるんだ」と多恵が話すと、「お腹減ったでしょ。とにかく先にご飯にしましょう」とマリアが食事の準備をしていてくれた。マリアは少し不機嫌そうに見えた。食事の片付けが済み、マリアの方から「私からも話があるの。多恵さん、いつもミアをどこに連れて行ってるの?確かに私が家に居なくてミアがお世話になってるのかもしれないけど、黙って毎日どこかに連れて行かないで!私にはもうミアしかいないの分かってるでしょ多恵さん」と怒ったような悲しいような顔で話した。多恵はもっともだと思った。「ごめんね、マリアちゃん。私ね、明日出ていくね。凄くお世話になってありがたかった」とマリアに謝るとマリアは、「分かりました。こちらこそミアがお世話になりました」と言い席を立とうとすると、「お姉ちゃん、ミアも話しがあるの。ミアね、おばちゃんと一緒に行きたいの」とミアが話始めると、「そんなのダメに決まってるでしょ!お姉ちゃんは、ミアの為に」とマリアは、話詰まり泣いてしまった。

ミアは、「お姉ちゃん、ミア、分かってるよ。お姉ちゃんが、ミアの為に沢山我慢してくれてる事。お姉ちゃんが好きな事出来ないでいるの。お父さんとお母さんが居ないからミアのせいで大変なの。ミアね、お姉ちゃん大好きだよ。でも、おばちゃんと一緒にお勉強したいの。ミアは、お姉ちゃんを助けられるようになりたい。だから、おばちゃんについていって、沢山色んなことができるようになってくる。お姉ちゃんが良いよって言ってくれないとミアは、行けないんだ。でもね、ミアはお姉ちゃんがダメって言っても行きたいよ」とマリアに必死に話した。マリアは、自分が見ていない間に、ミアは随分成長したと思った。自分が何もできないのは、ミアがいるから仕方がないと、ずっとミアのせいにしてきた事をミアはしっかり感じ取っていたんだと初めて気づいた。

マリアは「お姉ちゃん失格だね!多恵さん、ミアは多恵さんについて行って危険な事は無いのかな?迷惑ではないのかな?私は、行かせたくない。行かせたくないよー」そう言いながらもマリアは、ミアの好きにさせてあげようともう決意していた。「危険な事が無いとは言えない。ミアちゃんもそれも理解の上でついてきたいと言ってる。今の私の力では、守れる自信は無い。無責任かもしれないけど。だけど、私の仲間がミアちゃんを守ってくれる。私が力をつけるまでは。」多恵は正直に話した。

「ミア、あなたの好きにしなさい。お姉ちゃんは、自分が決めた事を今までミアのせいにしてきた。ごめんね。大好きよミア」とマリアは、優しく話し、ミアを抱きしめた。

「お姉ちゃんありがとう。待っててね、ミアお姉ちゃんの役に立つようになって帰ってくるから」とミアは言い、その晩はマリアとミアは一緒に寝た。

マリアは一足早く起きて、お弁当を作っていた。そして行ってらっしゃいと書き置きを残していつも通りに仕事に出た。

多恵は、マリアは絶対納得しないと思っていた。多恵はミアに「いつかマリアちゃんに沢山お礼ができるようになって戻ってこようね」と言い、家を後にした。

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