第5話 神様の司令

マリアが、家に帰ってミアを見るなり、「ミア、そのクマさんどうしたの?」と目を輝かせて聞いた。ミアは、「おばちゃんが作ったんだよ!!おばちゃんすっごく上手なんだから〜」とミアは嬉しそうに話した。

多恵は、「マリアちゃんにも作ろうか?それとごめんね、お母さんの服を勝手に使っちゃったの」と謝った。

マリアは、本当に嬉しそうに「良いの?お願いします」と多恵に素直にお願いをした。多恵は、子供らしいマリアの一面を見れて嬉しく思った。「直ぐに作るね」と多恵は、1時間程でミアと色違いのクマを完成させた。

「多恵さん、ありがとう。凄いよ!こんなに可愛いぬいぐるみ初めてです。大切にします。」とマリアは嬉しそうにクマを抱きしめた。

多恵は、喜んでもらえて本当に良かったと思った。

次の日、多恵はマキトの事が気になり、山へ行ってみることにした。

「マキト、マキト!!」多恵はマキトを呼びながら歩くがなかなか現れず、この広い山で探すのはやっぱり無理かぁと諦め戻ろうとすると目の前を強い光が包み込んだ。「なになに?」と多恵が驚いていると、目の前に美しい女性がいた。「我は、この世界を司る者。多恵、異世界生活をずっと夢見ていたのであろう。そなたの夢を叶えたというのに、そなたは何をやっておるのだ。今までと変わらないただの生活をしているだけでは無いか。そなたにはこの世界の均衡を保ってもらわねばいかぬ。それ故、あらゆる種族の言葉が理解できるよう力を与えている。そなたは闘う事なく、世界の均衡を保つのだ。暖かい気持ちが芽生えた時、そなたの力は増幅していく。あらゆる種族の共存を目指すのだ。鍛錬せよ」

光は消えていた。「えっ?何?こっちには何も質問もさせてくれないの?世界の均衡って、共存って、そんなの出来るのー???」多恵は、パニックになっていたが、「きっと神様なんだよね?異世界って感じ。そういえば、マキトの言葉が分かったのもそういうことなんだよね、まずはマキトを探さなきゃ。共存って事は人間も魔族も亜人も何でも仲良く生きろって事だよね。なんか、力があるっぽいけどどうやって使うんだろう?もう、言いたいことだけ言って消えちゃって。力の使い方分からないと何も出来ないか」多恵は1人でぶつぶつ言っていた。すると、「もう、まずはあのスライムを探しなさい!そなたに協力してくれるわ」耳元で声が聞こえた。「驚いた〜。とにかくマキトを探さなくっちゃ」多恵は、異世界に本当に来たのだとテンションが上がりながらも、自分に世界を何とか出来るのかと弱気な気持ちでマキトを探すのだった。

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