第3話 マリアの手伝い
多恵は、少しでもマリアの力になれる様にしようと思っていた。「ミアもいるし、家を留守にするわけにはいかないから、掃除は綺麗にしてあるし、夕飯の支度出来るかな?」と独り言を言いながら、家の中を散策してみるが、もちろん冷蔵庫も無い、台所も無い。「どうやったらいいのかな?釜のようなものはあるからここで火を起こして作るのだろうけど、食材もどこか分からないし、包丁とかあるのかな?」とずーっとぶつぶつ独り言を言いながら何も出来ず時間が過ぎた。
「ただいま。遅くなってごめんなさい。」とマリアが家に戻って来た。
多恵は、「こちらこそごめんなさい。どこに何があるか分からなくてどうしていいかわからなくて何も出来てないの。ミアちゃんだけは、お昼寝で寝かしつけてベッドにいるのだけど」と多恵が謝ると「いいえ、ミアを見てくれてありがとうございます。なかなか一緒にいてあげられなくてミアには寂しい思いをさせてるの。直ぐにご飯作りますね」とマリアが準備に取り掛かると、多恵は「分からないから、教えてもらっていい?」とマリアが食事の準備するのを見ていた。マリアは、手際が良く外から水を汲み、まず小麦粉に塩と水を入れてこねてから、野菜を洗って小さく切りスープを火にかけた。沸騰して来たら、小麦粉をちぎりながらスープに入れて、完成した。
「これしか無くてごめんなさい。私の稼ぎではそんなに買えなくて」とマリアが謝った。
マリアが、ミアを起こしに行くと「ミアは、おかえりなさいお姉ちゃん」と抱きつきとても喜んでいた。多恵は、2人とも寂しいんだろうなと思い、一生懸命なマリアを尊敬した。
食事は、すいとんのようなもので、出汁はなく、少し物足りない感じではあるが、野菜の味が出ていて美味しかった。
ミアが「おばちゃんは、どこから来たの?ミアとお姉ちゃんのお家に住むの?おばちゃんは、お家がなくなっちゃったの?おばちゃん、ミアと寝る?」と話すと、マリアが「そんなに沢山聞かないの、多恵さん困っちゃうでしょ〜」とミアに言い聞かせると、「いいのいいの、おばちゃんね、凄く遠くから来たんだけどね、今何も無くなっちゃってお家もないの。ミアちゃんとマリアちゃんのこのお家に少しお泊まりしても良いかな?」と優しく多恵が答えた。
ミアは「良いよ。じゃあ、ミアがおばちゃんに街を案内してあげる。明日行こうね。」と嬉しそうに多恵に言うとマリアが「すみません」と謝るため「謝らないでマリアちゃん、助けてくれて本当に感謝してるんだからミアちゃんも可愛いし、明日おばちゃんと行こうね。」と多恵も嬉しそうに言った。
多恵は、その日の夜マリアとミアに挟まれて寝た。2人の寝顔がとても可愛くて幸せな気持ちになった。そして、この世界に来てどう生活していけば良いのか考えていた。マリアちゃんも、小さいミアちゃんを見ながら生活していて、生活もギリギリと言う感じだし、直ぐには無理かもしれないけど、私が何か働けるようになればマリアちゃんも楽になるよね!と考えていた。
朝になり、多恵は「マリアちゃん、私に働けるところってあるかな?まだ、全然マリアちゃんのお手伝いも出来てないから、使い物にならないかもしれないけど、何か出来ないかと思って」とマリアに相談すると、「聞いてみないと分からないけど、多恵さんはここにずっといるの?」とマリアに聞き返された。確かに、少しお世話になる。と思っていて、そんな自分が、仕事を探すのも変というか迷惑なのかな?と思った。しかし、今は手元に何も無く、この世界の事も分からない。そのため暫くここで働いてお金を貯める必要があると思った。
「マリアちゃん達には迷惑かけちゃうけど、お金も必要だし、暫くはここにいてお金も貯めたいんだ」と話すと、マリアは、「分かりました。うちは、いつまでいてもらっても大丈夫。お仕事は、聞いてみないと分からないから、今日休憩時間に聞いてみますね」と快く言ってくれた。多恵は、本当にマリアは、いい子だなぁと思った。
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