第2話 マリアとミア
「おばちゃん、もうすぐそこ見えるでしょ?ここからは1人で行けるよね?」マキトが街を指して行った。「えー!マキトくんは一緒に行かないの?だって、私何も持ってないしさぁ、こんなだし、一緒に行こうよ」と多恵が引っ張ると、マキトは、「街までの、約束でしょ?俺は街には行かない。行けば騒ぎになる。言ったでしょ、魔物が街になんて入ったら大事になっちゃうんだよ」と悲しげな表情で話した。
「人間の姿をしてても、みんな魔物だって分かるの?私には分からないけど、街に行ったこと無いの?」と多恵が聞くと
「行ったことない。魔力を感知出来る人間は居るんだ。人間と魔物は、相容れないものだ。魔物だと分かれば退治される」と少し興奮気味にマキトは言った。
「私とは仲良くなれたじゃん!相容れないなんて事無いよ。みんな魔物が怖いものだと思ってるんだよ。自分達が襲われないって分かれば大丈夫だよ。マキトは、いい子じゃない」と多恵がマキトの頭を撫でると、マキトは「無理だよ」と言い姿を消した。
多恵は、マキトを探すが呼んでもマキトが出てくることは無かった。
多恵は、とりあえず街に行く事にした。15分程歩くと街に着いた。
小さな街でログハウス風の家が並んでいた。奥の方まで歩いていくと、賑わっている朝一の様な光景と、食堂や色んなお店が広がっていた。
多恵は、お腹も減っていたが、何も持っていないため街の人に声をかけた。
「すみません、山の方から降りてきたばかりなんですけど、荷物も何も無くなってしまってどうしていいかわからなくて」と話すと「山から来たって、あの魔物が沢山いるところから?良く生きて帰ってきたね!あんたどこの人?珍しい格好してるけど、あー、足も切れてるじゃないか、ちょっと待ってね」というと「みんな〜、この人、山から帰って来たんだってさ怪我してるし、薬草持ってる人いない?」と大きな声で叫んだ。すると、「なになに、山から?」「えー凄い良く帰ってきたね」「何しに行ったんよ?」と色んな人が集まってきた。そして、「足出して」と1人の少女が足に薬草を塗ってくれた。「みんな、いっぺんに聞いたらおばさんも困るだろうから、少し休ませてあげよう」と少女が家に案内してくれた。「私は、マリアって言います。ここで妹のミアと2人で暮らしているの、おばさんは?」とマリアがニコニコしながら話した。「私は、多恵。知らないうちに山の中にいて、荷物も何もなくなっていて、途中で出会った子がここまで案内してくれたんだけど、はぐれちゃって」と話すと、お腹が大きくぐぅーっと鳴った。
マリアは、「おばさん、暫くここで休んで行って。何も無いと困るだろうし」と言い、スープとパンを出してくれた。
多恵は「ありがとうお言葉に甘えて暫くお世話になるね。出来ることがあったらなんでも言ってなんでもやるから」と言い出してくれたご飯を食べた。
「本当に美味しいマリアちゃんが作ったの?ご両親は?」と聞くとマリアは俯き「パパとママは...」というと泣き出した。多恵は慌てて、「ごめんね。いけないことを聞いちゃったみたいで」と、マリアの頭を撫でると、「パパとママは、私が興味本位で森に入って、それを探しに来ただけなのに、魔物に殺されてしまって。私のせいなんです。行っちゃダメって言われてたのに。私が行っちゃったから」と泣きながら話した。多恵は、本当に人間を襲う魔物は居るんだと思った。「マリアちゃんのせいじゃ無いよ。でも辛かったね」と多恵はマリアを抱き寄せた。マリアは、「ごめんなさい。いきなり泣いちゃって、おばさんは休んでいて、私はお店に戻らなきゃ」と言い家を出た。
多恵は、疲れて少し寝てしまった。起きると多恵の横で妹のミアが寝ていた。多恵は、ミアを抱っこして布団に移した。真っ白で、金髪のミアの寝顔は凄く可愛かった。
ベッドから離れると、ミアが「ママ行かないで」と涙を流していた。多恵は切ない気持ちになりミアを抱っこした。「ママじゃなくてごめんね」と言いながらミアの背中をトントンし、寝かしつけた。
多恵は、まだこの世界の事もよく分からないし、お世話になる代わりに色々お手伝いしなくちゃと思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます