粉塵が舞う
奴はバカだ。とんでもない大バカ。ちょっと煽ったらもう着火しやがった。シティでは既にボディメカニックと警察の戦闘が始まっているからな、これ以上ややこしくされては困るんだよ。
「撃つんだろ? そのどデカい爆弾。ほら、俺の熱が冷める前に早く撃て」
「口が減らない野郎だ….!」
クラスター射出のための装置を奴が両腕を組み合わせて起動させた。成る程、体全体を使って発射するわけだ。打ち上げ花火にしてやろう。
「喰らえ… 砕け散れ…!!」
「間抜け野郎が、その歳で厨二病かよ。クラスター爆弾を空中で撒く奴がいるか」
俺の体は気に食わないが高性能だ。この程度の威力じゃあ…
「不味い… ブースターがやられたか? おい! 戦闘が長引きそうだ! 覚悟は良いな!?」
『え? ちょっとまっ』
天神の待つバンに一時退却しなければ、空中での機動を奪われた今の状況では勝ち目がない。クラスターの一部がピンポイントで当たるとはな。ツいてない。奴は興奮して俺の状況を見ずに爆弾を撃ちまくっている。今がチャンスだ。
「なんて威力だ… 親父!! 見ているか!? 最高だぞ… これなら俺たちを見放した社会を打ち砕ける!」
ありゃあ当分は大丈夫だな。空中で予備の推進剤を手動で射出し、向きを安定させる。ワープ戦争でもこの技は役に立った。
バンまでは5km、中々遠いが持たせるしかない。空中で青い粉塵が舞う、方向さえ合わせられりゃあ後は俺の体次第だ。3%、2%、1%、ここで空中遊覧の時間は終わり、こっからはスカイダイビングだ。
『だ、大丈夫? 何か凄い回ってるよ?』
「安心しろ。この程度じゃ死なない」
バンまではあと3km…
「逃がしはせん。親父を愚弄した罪を償ってもらう」
丁度良い所にブースター代わりになりそうな奴がいるじゃないか。レーザーブレード起動、落下する中で奴は俺を犬みたいに追っかけて来やがる。チェストプレートごと突き刺せば、人間パラシュートの完成だ。
「遺言は要らないよな? じゃあな」
「えっ」
奴が突き刺さったブレードを体の上へ向ける。死体についたブースターのおかげで機動が安定、奴も安らかに死ねたし、俺も助かる、win winってやつだ。
「任務完了… ってことでいいのか?」
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