第一ラウンド

テロリスト鎮圧のお次は容疑者捜索! 地味ですが積み重ねは大事です! そんなわけで私、メアリーは今、事件現場に来ております!


 「おい新人、ここの瓦礫退かすの手伝え」


 「了解です! 撃てばいいんですか?」


 レーザーガンで瓦礫を撃ち抜き壊しました。スムーズですね!


 「バカヤローッ! 当たったら死ぬだろうがぁ!」


 3班の隊長を務めていらっしゃる、アリーシャさんに怒られてしまいましたね… レーザーガンの腕前を振るったつもりだったんですが…


 「なんでイヴァーク殿はあんなのを呼んだんだ? 危なっかしいにも程が…… ん?」


 突如瓦礫まみれの警察署の中央に、白く輝くワープゲートが現れた。中からは武者が2人と、頭が昆虫になっているスーツの男が悠々と姿を出す。


 「我々はボディメカニック執行部隊、リオッタだ。諸君らにはここで死んでいただく」


 敵じゃないですか! アリーシャさんが警備隊の方々に指揮を出し始めましたね、従いますか!


 「随分と堂々と姿を現すじゃないか。総員、射撃用意」


 私も彼らに向かいレーザーを撃ちます。武者は力無く倒れましたが、スーツ野郎の姿が見当たりませんね。私の周りにいた警備隊の姿も見当たりません、これはもしかして?


 「あとは貴様だけだ。降伏か、抵抗か、選べ」


 「クズ野郎の癖に随分とえらそうじゃあないですか! 死ぬか、捕縛されるか、選べ」


 2度の正拳突きがすぐさま飛んできた。顔面に向けた突きを右腕で逸らして防ぐ、もう一発は横腹に浅く入る。このぐらい大したことはない、次はこっちの番だ。ナイフをホルダーから取り、首筋を狙う、相手は顔を前に出してきた。フェイント? 何かの罠?


 戸惑いが隙を生んでしまった。やけに尖った歯がナイフの刃を砕く、不味い。バックステップで距離を… 取れないか、合わせて来るとは思いませんでした。2度目の噛みつき、早めに頭突きをして怯ませた。


 一瞬の余裕、レーザーガンをリロードして、撃つ。胸に一発、足に一発。敵の沈黙を確認。


 「アリーシャさん、アリーシャさん! 生きていますか!?」


 「この娘のことかな?」


 確かに沈黙したはずだった。男は手にアリーシャさんの生首を持ち、起き上がった。


 「第二ラウンドだ、行くぞ」


 歯を剥き出しにし、男は襲いかかって来る。望むところだ。

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