第17話
「それはつまり、桜井さんがその妹さんと言う事なんですか?」
「いや、まだ分からない。同姓同名の可能性もあるから」
俺は口ではそう言っているが、内心では分かっていた。
記憶の中で見た女の子は桜井にどことなく似ていたし、何よりあの髪飾りだ!
吉川広樹が妹の誕生日のプレゼントに渡した髪飾りと同じ物を桜井は付けていた。
それに、桜井は家族についての事を話そうとしなかった、いや話したくなかったのだろう。
さて、どうしたらいいか・・・
俺はこれからどうするべきか悩んでいる。
なんせ、いきなり俺の心臓はお前の兄の物だ!なんて、言っても信じてはもらえないだろうし、かと言ってだんだんと話すにも俺は桜井を見ると、心臓が張り裂けそうになるから面と向かって話すことが出来ない。
あれ?これ詰んでね?
どうするかな〜
俺は困り果てたので燿と角田さんの意見を聞く事にした。
「あのさ、2人に、相談があるんだけどいいか?」
「もちろんだぞ!俺は真守の親友だからな」
「はい、お任せください鏑木君!」
「ありがとう2人とも」
俺は2人にこれからどうするべきか相談した。
結局、良い案が思いつかずこの日は解散となり、俺はと燿は駅へと向かう。
途中、コンビニでアイスを買って駐車場で燿と話していると燿のスマホが鳴る。
「親父から電話だ!」
燿はそのまま電話にでる。
俺はその横でアイスを食べ終え、待っていると電話が終わった燿が話しかけてくる。
「今親父からの電話で、行方不明になってる父親が見つかったらしい」
「マジか!それでどこに?」
「それがな、なんでも会社の事業に失敗して多額の借金して逃げたらしく結局今は刑務所にいるらしい。それから母親の方だが、今は独り身で娘を育てているそうだ」
「これはもう間違い無いな。桜井がその妹と言う事になるよな・・・」
「なあ真守。もう良いんじゃないか?」
「なにが?」
「うだうだ考えても仕方ないんだし、明日学校で話しちまえよ!その方がきっと楽だぞ!」
「そう、だな・・・燿の言った通りそうするよ。俺も実は迷っていたんだ」
「そうか、なら頑張れよ!」
「あれ?そこは一緒に来てくれないのか?」
「いや、そうゆうデリケートな話に他人が首を突っ込むのはちょっとなぁ」
「そりゃそうか、ありがとな燿」
「気にすんなよ!俺とお前の仲だろ!」
「そうだな」
「・・・帰るか?」
「ああもう遅いし、明日のために早く寝るわ」
「それじゃあ行くべ!」
俺と燿は駅へとむかう。
家に到着すると俺は桜井になんて話すかを考えるのであった。
そして翌朝を迎えた。
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