第15話

燿に手を貸してもらう為、俺は記憶の事を話す事にした。


『なるほどなぁ〜、それで色々と情報を集めているって訳ね』


「ああ、もう5年も経ってるから見つからないかもしれ無いけど、それでも俺は最後まで諦めたく無いんだ!頼む、手を貸してくれ燿!」


『もちろんだ真守!少し時間はかかるだろうが必ず情報を掴んでくるぜ!』


「ありがとう燿!」


『気にするなよ!さっきも言ったが、俺とお前の仲だろ!』


「ああ、そうだな」


『それじゃあまた明日な、真守』


「またな、燿」


俺は電話を切り、ベットへとダイブしてそのまま眠りについた。


翌日

俺はいつもより早い時間に起きた。


「やっぱり、記憶は見れなかったなぁ」


残念ながら、記憶を見る事は出来なかったが、それでも自分に出来ることはしたので落ち着いていた。


俺は軽くシャワーを浴びてから、朝食を食べて家を出る。


すると駅に着くとここにはいるはずのない見覚えのあるイケメンがいた。


「あれ?なんでいるんだ燿!お前の家って、反対方向の駅だろ?」


「おーす真守!いやさぁ、昨日親父に頼んでみたら、なんかめちゃくちゃやる気になってさ、一晩徹夜して調べてくれたんだよ!」


「すげーな!燿の親父さんって、たしか警察の偉い人だったよな?」


「ああ、確かに親父は警察だけど、どれくらい偉いのかはちょっと分からん!まぁ、それよりほら!これが親父から貰ったお前の条件に合う資料だ!」


燿はカバンから分厚い資料をとりだし、俺に手渡してくれた。 


「すまねぇ燿!恩に着る」


「いや〜、そう言われると照れるなぁ〜」


「全くお前は・・・ほら、電車きたぞ!」


「はいよ!」


俺と燿は電車に乗った。

電車に乗っている間、俺は燿から貰った資料に目を通す。


資料には、俺が手術を受けた日の前日と当日に起きた事件や事故を中心に、そこから人身事故に関わる資料を選んで貰った。


やがて、学校の最寄り駅に止まり、俺と燿は電車を降りて学校へと歩く。

残念ながら資料は半分程度しか見られ無かった。


(残りは学校に着いてからだな)


俺はそう思いながら歩く。


学校に到着すると、燿はいつの間にか女子達に囲まれ、俺は助けを求める燿を置いてそのまま下駄箱の方へと向かう。


すると角田さんが話しかけて来た。


「おはようございます鏑木君。ちょっと良いかな?」


「おはよう角田さん。もしかして昨日の件?」


「うん、そうだよ。お父さんにお願いしたらすぐに調べてくれたから!」


と何故かドヤ顔で言ってくるので俺は思わず苦笑いを浮かべながら


「あはは、燿といい角田さんといい、仕事早すぎじゃね?」


と小声で話す。


「それでなんですけど、今日の放課後、図書室に来ていただけませんか?」


「もちろんですよ!わかりました放課後、図書室ですね。了解です」


「それではまた図書室で」


「よろしくね、角田さん」


俺は角田さんと分かれて自分の教室へと向かう。すると、校門前で捕まっていたはずの燿がすでにいた。


「あれ?なんでお前の方が遅いんだよ真守」


「なんでって、そりゃ角田さんに頼んでいた事について呼ばれてたからなら!」



「角田ってお前、あの角田か?!」


「ああそうだぞ」


「へぇー知らなかったぜ!お前が、あの角田亜希と知り合いだとはな!」


「図書委員で一緒なだけだよ」


「それで、結果はどうだったんだ?」


「その事なんだが、今日の放課後に図書室で会って、情報を教えてくれるそうだ」


「それは、すげーなー!流石は天下の帝王大病院の教授の娘だな」


「そうだな。でも角田さんの前であんまりその事を言ってやるなよ」


「分かってるよ」


ピンポンパンポン〜


俺と燿が話しているとチャイムがなり、担任がやってきたので俺は自分の席に戻り、放課後が来るのを待ち望んだ。


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