第11話

電車を降りて、高校へと続く大通りを歩いていると、反対方向から1番会いたくないやつが歩いて来た。


(マジかよ、朝っぱらから桜井に会っちまうなんてついてねー!やばい、まだ結構離れているはずなのにもう心臓が早くなって来やがった!)


俺は急いで深呼吸を数回してから、素数を数え、たりはせず、そのまま高校の方へ歩いていく。


下駄箱で靴を履き変えた後、俺は教室へと向かう。

すると、すでに燿がいて、その周りには数人の女子が群がっている。

俺は静かに自分の机に座ると俺に気づいた燿が話しかけてくる。


「おはよう真守。大丈夫か?なんだがいつもより顔色が悪いような気がするぞ!」


「ああ、大丈夫だ。朝ちょっとあの女を見ちまってな」


「あーそれでか、そいつは運が無かったな」


「ああそうだな。てかいいのか?」


「ん?なにが?」


「いや、あそこの女子たちがさっきからこっちをすげー睨んで来てるんだけど」


「ああ、気にしなくていいぞ!どうせ俺の顔が目当てで群がってる奴らばっかだし、正直迷惑してるんだよなぁ」


「そ、そうか。イケメンも意外と大変なんだな・・・」


「そうなんだよ真守。ついに俺の気持ちを分かってくれたか」


「いや、ただお前をすげー殴りたいと思っただけ」


「ひでーやつだな真守」


「何言ってんだよお前は・・・」


「あっそうだった、真守は今日放課後空いてるか?」


「残念ながら今日は図書委員の仕事で放課後は残りだ!」


「マジかー!最悪だ」


「なに?また誘われたのか?」


「そうなんだよ真守。また中川さん達から誘われてさ、どう断るか困ってるんだよ!」


「諦めろ燿。たまにはいいじゃないか!」


「嫌だよそんなの!」


「はぁ、お前のその女性不審はまだ治らないのかよ」


「当たり前だろ!あんな事があったんだから。普通に考えれば、一生もののトラウマだぞ!」


そう、イケメンの燿が何で女子と付き合うどころか、遊びにすら行かないのかと言うと、

燿は中学の時に好きだった一つ上の先輩に、文化祭で告白したのだが、大勢の人の前でそれはそれは見事に振られたのだ!

そのせいで燿は女性不審となり、以来一度として女子と遊びどころか、2人組すら組んだ事が無いレベルまでになっている。


何度か俺も、克服させようとしたのだが、残念ながら全て失敗したので、俺は半ばもう諦めている。


俺は狼狽えながら頭を抱えている燿を他所に、読書を始めた。


因みに燿は覚悟を決めて中川さん達の誘いを受けた。ただし、知り合いの男子数人と一緒と言う条件を出し、承諾させて・・・


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