第10話
俺が目を覚ますとそこはリビングのソファーだった。
俺は起き上がりあたりを見回すと母さんがキッチンにいた。
「あっ!やっと目が覚めたのね、頭を打ってたから心配したのよ真守!」
「ごめん母さん。階段踏み外しちゃってさ」
「ねぇ真守、貴方何で泣いているの?」
「えっ?!」
俺は母さんに言われてから慌てて頬を触ると確かに涙が流れていた。
最初は混乱していた俺だが、すぐに理由が分かった。
(さっき見た夢のせいだよな・・・)
俺は服の袖で涙を拭うと母さんが
「どうしたの、何か悲しい夢でも見たの?」
と言うので、俺は真面目な顔で答える。
「ねぇ母さん。死んでも忘れたく無い記憶ってあるのかな・・・」
「?・・・どうゆう事?」
「なんでもない!」
「そう」
俺はそのまま自分の部屋へと行き、ベットに寝っ転がるとスマホである事を検索する。
移植・記憶転移 実例
すると、幾つかのサイトがヒットした。
確認すると、臓器移植によってレシピエントが移植後にドナーと同じ性格になったり、記憶を引き継いだなどの情報が書いてあった。
(やっぱり、夢で見る知らない記憶はこの心臓の持ち主だった人の記憶ってことなんだよな)
薄々感じてはいたが、記憶転移なんて、非現実的で認めたくない自分もいたが、改めて調べて見ると実際にこの記憶が前の持ち主のものであると再確認できた。
「さて、どうしたものか・・・」
俺が困っている理由は、この記憶を後どのくらい見るのか?そして、この記憶の持ち主についてだ。
俺は、自分に新しい人生をくれた心臓の持ち主にお礼がしたいと思っているので、この記憶をもとに探してみたいと思っていた。
だが、いつまでこの記憶を見る事が出来るのかが、分からないので心配だ。
なんせ、この記憶だけが持ち主にたどり着く唯一の手掛かりなのだから。
「あーくそっ!もうダメだ。考えて過ぎて頭いたい、もう寝よう」
脳がオーバーヒートした俺はそのまま、眠りについた。
翌日
スマホのアラームで目が覚めた俺は落胆していた。
理由は簡単、寝ている間に知らない記憶を見る事が出来なかったからだ。
しばらくベットで落ち込んだ後、俺は身支度を整えていつも通りの時間に家を出た。
駅に着き、ホームで電車を待っている間に俺は何で記憶を見る事が出来なかったのかを考えていた。
(何で、記憶を見れなかったんだろう・・・
あれ?確か、最初に見た時も次の時も頭に衝撃を受けた後に見たんだよなぁ、もしかしてそれかっ!)
俺はついに、どうやって記憶を見る事が出きるのか、方法を見つけた。
・・・けれど
普通に考えて頭に強い衝撃って痛いよな!
どう考えても・・・
「はぁ・・・」
俺は電車の中でため息を吐いてしまった。
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