間話 


突然話しかけられ、俺は驚きのあまりその場に転んでしまった。

そんな俺に燿は手を差し伸べる。


「大丈夫?怪我はない?」


「うん、ありがとう」


「ねぇ、何でここにいるの?」


「えっ!あ、えーと、ちょっと景色を見に来たんだ」


「ふーん、それじゃあ僕も一緒に見てもいい?」


「あ、いいけど」


「やったー!そうだ、僕の名前は坂本燿って言うんだ!よろしくね。えーと・・・」


「俺の名前は鏑木真守だ」


「真守君だね、覚えたよ。僕のことはよっちゃんって呼んでくれると嬉しいな」


「何でよっちゃんなんだ?」


「だって可愛いじゃん」


「・・・・・」


「何で黙っちゃうの?」


「いや、なんて言えばいいのか分からなかったから」


「ひどいなぁ・・・」


「ハハハ、面白いなお前」


「ありがとう、でもお前じゃなくてよっちゃんって呼んでね」


「分かったよ、よっちゃん」


「そうそう、それだよ真守君」


「何が?」


「なんでもないっ!」


「そうか」


「それよりも、一緒に遊ぼうよ」


「ごめん俺、運動出来ないんだ」


「なら一緒にトランプやろうよ!ちょうど遊び部屋にあるからさ」


「それならいいよ」


「それじゃあ行こう」


よっちゃんは俺の手を掴んで引っ張っていく。


よっちゃんとの遊びはとても楽しかった。

少なくても入院してからは全く楽しい事なんて無かった。

両親がお見舞いに来てくれることはあるけど、いつも心配した顔で俺の事を見てくる。

そんな両親を見ていると自分の事が許せなくなっていく。


何で自分は普通に生まれてこなかったのか。


どうして自分の心臓はこんなに悪いのか。


両親に迷惑をかけている自分に腹が立ち、最近ではまともに顔を合わせる事ができなくなってしまった。


両親も俺の気持ちを感じとったのか、お見舞いに来る頻度も徐々に減っていき、俺は孤独感に苛まれていった。


孤独に苛まれる中、唯一の心の柱で入院してから初めて出会った同年代の男の子であるよっちゃんの事を俺は大好きになった。


もちろんLOVEではなくLIKEの方だからな!分かってるか、外野!



けれどよっちゃんの事が大切になる一方で俺は、自分の病気の事を話すべきか、話さないべきか迷っていた。

よっちゃんも、自分の病気についてはほとんど話してくれた事は無い。手術をしないといけないと聞いたくらいだ。


俺は怖かった!

病気の事を話せばきっとよっちゃんは心配して態度を変えるだろう。

それに俺の容態はいつ悪化するか分からないので話したく無かった。


だから俺は決めた。

たとえどんな体調でも、よっちゃんと遊ぶ時は元気な振りをして、心配をかけさせないようにしようと。

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