第5話


「うっわ!!!!」


俺は轢かれたショックによって目が覚めた!


「はぁ、はぁ、ここはどこだ?」


辺りを見渡すとどうやら保健室のようだ。

俺はベットから立ち上がりカーテンを開けると机で書類整理をしている女性に声をかける。


「すみません。お世話になりました」


「あら?起きたのね、心配したわよ」


「ご心配おかけしました。翠先生」


「本当よ、貴方が授業中に倒れたって聞いたから焦ったわ」


この人は保健教諭の佐藤翠さん。

この学校で唯一、俺の秘密を知っている先生だ。


「あはは、ちょっとミスをしちゃいましたけど、安心して下さい。もう治ってますから」


「それじゃあ早く戻りなさい。もう放課後よ」


「えっ?!本当ですか?やっべ、燿と約束があるんだよ!」


俺は急いで保健室を出ようと扉を開け飛び出す。すると誰かとぶつかってしまった。


「いて!」


「きゃ!」


「いてて、すいませんって桜井!」


(やばい、落ち着け、落ち着くんだ俺、素数を数えるんだ)


どうにか心臓を落ち着かせた俺は桜井の顔を見る。


「ふん!誰かと思ったらバレーで気絶した鏑木くんじゃない」


「なんだよ、喧嘩売ってんのか?」


「はっ?ぶつかって来たのはそっちでしょ」


「なんだとー!」


「なによ!」


「「ふん!」」


お互いが睨み合いながら立ちすくんでいると

翠先生がやって来た。


「ちょっと何廊下でイチャついてるのよ!」


「佐藤先生、冗談はやめてください。嘘でもこんな男とイチャついたなんて思われたく無いですから!それよりこれ、頼まれてた書類です」


「あら、ありがどうね」


「いえ、仕事ですから」


「そう、ご苦労様」


「それでは失礼します」


と桜井は書類を渡して帰ろうとする。

その時俺は見た。いや、見えてしまった。


桜井の右耳に隠れていた、夢で見たあの髪飾りと同じものを・・・・




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る