バレンタインデー特別企画 ①
2月14日バレンタインデー
それは女性が男性に対してチョコレートを渡す日であると同時に意中の人に想いを伝える勝負の日でもある。
今回はそんなバレンタインデー特別企画と言うことで、日和、葵姉妹、梓、芽依のそれぞれの視点からご覧ください。
記念すべき最初は
〜葵姉妹編〜
2月13日
この日、葵家の台所において、南と東子の姉妹が明日に控えたバレンタインデーの為のチョコ作りをしていた。
「ちょっと東子!なんでチョコを電子レンジで溶かそうとしてるのよ!?チョコは湯煎して溶かすってレシピ版に書いてあるでしょうが!!」
南がレシピ本を叩きながら叫ぶ。
すると今度は東子が
「うるさいなぁー!!ちょっと間違えただけでしょ!!それに姉さんだってさっき、チョコに砂糖じゃなくて塩を入れようとしてたじゃん!どこの漫画なのよ!!」
と言って砂糖と塩の入った瓶を両手で持ち上げる。本当、どこの漫画だよ!!
実はこの2人、物凄く料理が出来ない!!
具体的に言うと、2人とも目玉焼きがギリギリ作れるくらいである。そして驚くべき事に2人とも今まで一度もお菓子を作った事などないにも関わらず、ガトーショコラを作ろうしているのだ!ただ、レシピ本の通りに作っているはずなのに一向に作業が進まないのであった。
そして度重なる失敗によりフラストレーションが貯まった2人は、ついに言い争いを始めてしまった。
「しょうがないでしょ!!砂糖と塩って匂いしないし、色も似てるから間違えやすいのよ!!」
「はぁー?そんなのただの言い訳でしょ?!それにちゃんと蓋に書いてあるじゃん!そんなんだからいつまで経っても彼氏の一人も出来ないのよ!!」
「言ってくれるじゃないのこの拗らせ妹が!あんただって今まで一人も彼氏がいないでしょうが!!」
「なー!!別にいいもん!!私にはキム兄がいるんだから!!」
「ふん!東子、貴女まだ木村君の事を諦めて無かったのね?私てっきり、東子はもう木村君の事を諦めて、他の男の子へ渡すのかと思ってたわ!」
「そんな訳ないでしょ!!私がいつキム兄の事を諦めるなんて言ったのよ?!それに姉さんだって、6つも年が離れたキム兄の事をいつまで狙ってるのよ!いい加減もういい歳なんだから諦めて同い年くらいの人を見つけたらどうなのよ!?」
「あーー!今、歳の事を言ったわね東子!!それを言うなら東子だって木村君の方が年上じゃない!!そう言えば東子って昔からお父さんの事も大好きだったもんね!東子がファザコンだなんて、姉としなんて言ったらいいのか……」
「はぁ?!キム兄とは2つしか違わないから問題ないしぃ!」
「それなら私だって問題ないしー!」
「何が問題ないのよ!もうすぐアラサーなんだから早く諦めて別の人を探しに行かないと婚期が遅れるよ!」
「へぇー、そう言う東子だって一度しか無い青春を叶いもしない片思いで終わる事になるなんて寂しいわねぇ〜」
「「・・・・あ"あ"?!!」」
互いにとても女性とは思えない様な声を発しながら睨み合い、その後はとても姉妹の会話とは思えない様な罵詈雑言が飛び交う。
「もーういいわ!こうなったら実力行使してやるわよ!!」
と言って南はスリッパを乱暴に脱ぐと構えをとる。一方、それを見て東子の方も
「上等よ姉さん!!今日こそ姉さんに勝ってやるわよ!!」
と言いながら同じく構えをとる。
互いに仕掛けるタイミングを探り合う中、先制したのは意外にも東子だった。
「姉さん覚悟!!」
「ふん!来なさい!!」
東子が南の襟を掴もうとした瞬間
「やめなさい!!」
ゴン!! ゴン!!
と、2人の頭に同時に拳骨が落ちる。
「「い、いったーー!!?」」
2人は頭を押さえながら屈むと、拳骨の主である姉妹の母親であり、葵家において怒ると父である北斗よりも恐ろしい西華が眉間に皺を寄せながら2人の事を呆れた表情で見ていた。
2人が怯えた目で見ていると西華が
「2人ともキッチンでなにを騒いでいるのよ!!いい加減にしないと金輪際2人ともキッチンへ立ち入り禁止にするわよ!!」
「「す、すいませんでした」」
2人が謝ると、西華はため息をついた後
「はぁ……それで、なんで2人はそんなに騒いでいたの?」
西華の質問に対して2人は一度目を合わせた後、南が答えた。
「実は、東子と2人でガトーショコラを作ろうとしたんだけど、レシピ本通りに作っているのに全然上手くいかなくて……」
「やっぱりそんな事だろうと思ったわ!全く、貴女達は2人とも自分が料理音痴だってもっと自覚した方がいいわよ」
西華が呆れた口調で言うと、南と東子はガックリと肩を落としながら
「「……はい」」
と、小さく呟いた。
完全に落ち込んでいる2人に対して西華は
「まぁ、2人のやる気に免じて今回は私が手伝ってあげるからそんなに落ち込まないの!」
「「本当?!」」
「ええもちろんよ!でも、もう夜も遅いから早速始めましょうか!」
「「はーい!!」」
こうして姉妹は、
途中、何度も西華の怒声や呆れ声が飛び交う中、どうにか完成したガトーショコラを見て姉妹は
「やったー!私、初めてまともに料理を作れた気がするわ!ありがとうお母さん!」
「東子の言う通りね。本当にありがとう助かったわお母さん!」
と、感謝の言葉を伝える。
すると
「うふふ、良かったわね2人とも。それで、2人はそれを誰に渡すの?」
と言う質問に姉妹は
「「……秘密(よ)!」」
と言いながら笑みを浮かべるのだった。
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なんだかんだ仲のいい葵姉妹のお話でした。
次は芽依と梓の話となりますので、どうぞお楽しみ〜
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