発見!
〜京side〜
時は少し遡り、日和から緑川さんが誘拐されたと連絡を受けた俺は、以前にもお世話になった青山さんに連絡を入れる。
【おお、どうしたんだい京君?何か困り事かな?】
「お久しぶりです青山さん。はい、実は知り合いが誘拐されたみたいで、お力をお借りしたいんです」
【えっ?!誘拐??!!警察には連絡したの?】
「いえ、犯人から警察への連絡を止められていまして……なので青山さんに連絡した次第です。どうか力を貸して下さい!」
【うーん……わかった!本当なら警察官としてはダメだけど、京君にはこの間のお礼もあるから特別に協力するよ!それで、俺は何をしたら良いのかな?】
「ありがとうございます!では、防犯カメラでこれから言う車を探して下さい。車の車種は……ナンバーは……それと、警察が掴んでいる不良や族の溜り場を教えて下さい」
【ああ分かった。調べるから一旦切るぞ!】
と言って、青山さんは電話を切った。
俺は青山さんからの連絡が来るまでの間、マンションに戻り着替えた後バイクに乗る。
向かう先は町外れにある工業地帯だ。あそこには廃工場が幾つかあるので、不良や族などの溜り場として有名だから滅多に人は来ない。つまり、悪い事をするのに最適な場所なのだ!!なので俺は、例え違っていたとしてもダメ元で向かう事にした。
ちなみに日和達には、犯人を探してもらっている。実行犯は別にいるだろうが、恐らく計画を立てた人物がいる筈だ。でなければ、あっさりと人を誘拐するなんて事が出来る訳が無い。おまけに犯人はご丁寧に警察に連絡するなと釘を刺してきたので、緑川さんと同じ学生の可能性が高いと俺は踏んでいる。
まぁ、実行犯を捕まえれば犯人が誰だか分かるんだけどね。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
廃工場地帯に到着した俺は、しらみつぶしに片っ端から突入して中を調べる。
既に日和の連絡からおよそ2時間近くが経っている為、日も傾き暗くなり始めている。
このまま夜になれば捜索は難航するだけじゃなく、緑川さん自身がどうなるか分からない。たしか青山さんの話ではこの辺りでは最近、強姦時間が度々起こっているそうなので、もしかしたら今回の件もそいつらが関係している可能性があるので、まさに時間との勝負だ。
俺が3つ目の廃工場を調べた頃、ようやく青山さんから連絡が来た。
「もしもし青山さん!どうですか、見つかりましたか?」
【ああ、京君の言っていた車が廃工場地帯へ向かった所までは確認する事ができたんだが、流石にその辺りには防犯カメラが設置されて無くてそれ以上は分からなかった。すまん!】
「いえ、そこまで分かれば大丈夫です。ありがとうございます青山さん!」
【気にするな!あっそれと、廃工場地帯を溜り場にしてる族やら逸れものやらの中で、女性をターゲットに誘拐や強姦をしている奴等の情報が手に入ったぞ!】
「本当ですか?!それでそいつ等はどこを溜り場にしているんですか?」
【そいつらは外れにある一番古い廃工場を溜り場にしてるって話だ!】
「ありがとうございます。すぐに向かいますので切りますね」
【気をつけろよ京君!情報だと奴等はかなり狡猾だと言う話だし、おまけに相当腕が立つ奴がいるらしいからな!一応こっちでも覆面を何台か向かわせるから絶対に無茶するなよ!】
「分かりました。それでは失礼します!」
そう言って俺は電話を切ると急いでバイクに乗り、外れにある廃工場へと向かった。
*******
目的の廃工場に到着すると、日和から聞いていたナンバーの車を発見した俺は、急いで工場内へと入っていく。
するとそこには、数人の男が椅子に座りながら何やら撮影機材らしき物の手入れをしていた。どうやら青山さんの情報通り、ここで当たりのようだ!
時間のない俺は近くに落ちていた鉄パイプを拾いながら突入する。
すると男達は
「なんだテメー!」
「ここが誰のアジトだが知ってて来やがったのか?!」
と、怒鳴りながら一斉に襲って来たので、俺は鉄パイプを使って一人づつ確実に仕留めていく。
最初に襲って来た奴には、その首元に突きを叩き込む。
「うぐ!」
武器を持って向かって来た男には手首を狙って鉄パイプを振る。
「あが!」
そして、武器を落とした男の腹に鉄パイプで殴る。
「ひでぶ!」
まるで世紀末の雑魚の様な叫びをあげて倒れる男を見て他の奴等は
「止めてくれ!助けてー!」
と、命乞いをしながら逃げる。
「ちっ!まぁいいや、今は緑川さんの方が先だ!」
俺は逃げる奴等を追わずにさらに奥へと向かった。
奥に続く廊下を進むと、聞き覚えの無い女性の声が響いてきた後、今度は何かを叩く音と男の声が聞こえて来た。
「あそこか!」
俺は音のする方へと全速力で向かう。
そして、一番奥の扉の前に到着すると、扉の向こう側から俺の名前を呼ぶ緑川さんの声が聞こえて来たので、俺は勢いよく扉を開ける。
ドン!!
するとそこには、数人の男達と倒れている知らない女性と、涙を流しながしながら俺を見つめる緑川さんがいた。
緑川さんは、多少目の毒な格好をしていたが、それでも最悪の事態になっていなかったので俺は安堵した。
緑川さんを見つけて安心した俺は、泣いている緑川さんに
「はぁ、はぁ、はぁ、なんとか間に合ったようで良かったよ緑川さん!」
と、声をかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます