大丈夫だよ


無事に緑川さんを見つけた俺はまず、その場にいる男達に対して告げる。


「お前ら!今すぐその二人を解放して投降しろ!!今、投降すれば痛い目を見ずに済むぞ!」


すると学生服を着た男が笑いながら


「あはは!いきなり現れたと思ったら正義の味方ごっこかよ!誰がテメーみたいな陰キャヤローにビビるわけねーだろ!おいお前ら、やっちまいな!」


と言って、後ろにいる男達に命令をする。

数は三人。一人は身体が180センチほどの男、もう一人は鉄パイプを持ったヒョロイ男、最後の一人はメリケンサックを付けた男の3人だ!


だが俺は、この3人には目もくれず学生服の男を見る。


(ふーん、どうやらあの学生服を着た男がリーダーのようだな)


すると、向かって来た男の一人が俺の胸ぐらを掴みながら


「余所見するとは随分と余裕な奴だな?!それともびびって動く事も出来なかったのか?」


と言って、顔に向かって殴りかかってきたので、俺はその腕を掴むとそのまま一本背負いで投げ飛ばす。


ドン!!


「ぐへっ!」


さらに俺は、背中を強く打ち付けてもがき苦しむ男の首元に思いっきり足を踏みつける。


「グハァー!!!」


踏みつけられた事で息の出来なくなった男は涙を流しながらその場でのたうち回る。


すると、その光景を見た他の男達は狼狽えながら逃げようとしているで、俺は男達に近づきながら告げる。


「何を逃げようとしてんだお前ら?俺の忠告を無視して今更逃げられると思うなよ!」


と言って俺は、武器を持っていない男の腕を掴むと、受け身が取れないように大外刈りを喰らわす。


ドン!!


「ガハッ!」


投げられた男はそのまま気絶したので、俺は最後の一人を睨みながら


「どうした、かかって来いよ!」


と、右手をクイクイさせながら挑発する。

すると男は


「死ねやー!!」


と言って、持っている鉄パイプを振り回しながら叫ぶ。


「馬鹿が!」


俺は鉄パイプを避けながら男の懐に入り込み、男の鳩尾に肘鉄を喰らわす。


「ぐへ!」


「終わりだよ」


俺は悶絶する男の右手を掴みながら関節技をかける。


「いててて!!止めてくれ折れるー!!」


「ふん、嫌だね!」


ボキ!!


「ギャー!!」


俺は懇願する男を無視してそのまま腕を折ると男を放り投げる。

俺は両手をパチパチさせながら学生服の男を睨む。


「待たせて悪かったな!」


俺がそう言うと、男は緑川さんの首筋にナイフを当てながら


「止まれ!止まらないとコイツの命は無いぞ!」


「ごめんなさい木村さん」


と、謝る緑川さんに俺は優しい声で


「大丈夫だよ。俺が必ず助けるからね」


と言って励ます。


すると男が


「ふん!テキトーな事言ってんじゃねーよ!俺は本気だぞ!」


と、脅してきたので俺は


「そんな陳腐な脅しが俺に通用すると思ってるのか?」


と言いながら男に近づく。すると男はナイフに力を入れながら


「う、動くな!動けば本当に殺すぞ!」


男が脅して来たので俺は余裕の表情で


「ふっ!やれるもんならやって見ろよ!」


声を張り上げて叫ぶ。

すると男はナイフを振り上げながら


「う、うわー!」


と叫び声を上げて緑川さんを刺そうとした瞬間、俺は左腕を伸ばしてわざとナイフを刺させる。これは、ハガ○ンに出てくる某大尉が大総統の剣を筋肉で抜けなくさせた方法を参考にしてみた……みたのだが、これは凄く痛い!!具体的に言うと、火で焼かれるくらい痛い!でもここで引いては行けない!!

このチャンスを逃せば緑川さんを助ける事が出来ないからだ!俺は歯を食い縛りながら距離を詰める。


「なっ?!抜けない!」


ナイフが抜けないことに狼狽えた男の顔面を俺は右拳で殴る。


「グワ!」


男が緑川さんを離した瞬間、俺は痛みを我慢して左腕で抱き抱える。


「怪我は無い緑川さん?」


「は、はい。でも私のせいで木村さんの腕が刺されて……」


「大丈夫だよ。これくらいかすり傷だから気にしないで。それより危ないからあの女性と一緒に少し離れててくれ」


「は、はい!」


と言って俺は、また人質にならないように緑川さんと女性を離れさせる。


「さて、覚悟はできてるんだろうな?」


俺が男を睨みながらそう告げると、男は手を前に出して


「ま、待て!そうだ取引しよう!見逃してくれるなら金でも女でもなんでも好きな物をやるよ!へへへ、お前みたいな陰キャな奴では絶対に抱けないような上玉を用意してやる!

だから見逃してくれ!」


と、命乞いをして来た。

俺は男を侮蔑の目で睨みながら、冷たい声で告げる。


「はぁ?何言ってんだお前。今更逃す訳ないだろうが!それに、お前は俺を怒らせた!」


そう言って俺は、男の右足に思いっきり蹴る。


ドン!!


「いぎゃー!!」


男は地べたを転がりながら叫び声をあげる。

俺は男の胸ぐらを掴みながら立たせると、今度は腹を思いっきり殴る。


ドス!


「グハァ!!」


「どうだ痛いか?言っとくけど緑川さんはもっと痛かったぞ!」


ドス! ドス! ドス!


そう言って俺は何度も腹を殴り続ける。


「も、もう、止めて、下さい……た、たすけてぐだざい……」


と、泣きながら許しをこう男に俺は


「お前の言葉を借りるなら……止めねーよ!ゴミが!」


と言って俺は男をぶん投げる。


ドン!!


すると男は白目を剥きながら気絶してしまった。俺は気絶した男に馬乗りになると


「おい!何勝手に気絶して寝てるんだよ!まだ終わってねーぞ!」


ドス!


ドス!


ドス!


と、何度も顔面を殴り続ける。


「どうだ?痛いだろ?」


ドス!


「だがな、お前が緑川さんにした事に比べれば全然なんだよ!」


ドス!


ドス!


何度も殴り続ける事で男の顔は歪んでいき、血塗れになる。


「終わりだ、死ね!」


そして、俺がトドメを刺そうと男の顔面に向かって拳を振り下ろそうとした瞬間


「もうやめて下さい木村さん!」


と、緑川さんが泣きながら俺の腕を必死にしがみつきながら止めた。


「??!」


俺が驚いていると緑川さんは震えてる声で


「もう充分ですから、もう大丈夫ですから……だから、だからもう……」


次第に小さくなる声とは対照的に、緑川さんが話す言葉には強さがこもっていく。


そんな緑川さんに気圧されて落ち着いた俺は、ずっと緑川さんの事を見つめていた。

すると緑川さんは右手で俺の頬を撫でながら笑顔で


「また貴方に助けて貰っちゃいましたね木村さん……いいえ、陰キャさん」


チュッ!!


そう囁いた後、ゆっくりと俺の唇にキスをした。




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