京と芽依


突然の緑川さんからのキスに驚いた俺は、緑川さんを慌てて引き離す。すると緑川さんは笑みを浮かべながら


「うふふ、木村さん顔が真っ赤になってますよ!!」


と言って茶化して来たが、俺はそんな事よりも先程のキスのせいで、心の中が大混乱になっていた!



大袈裟な俺 「メーデー!メーデー!!緊急事態発生、緊急事態発生!!各俺は直ちに会議室へ集合して下さい!!」


大袈裟な俺が騒ぎ立てる中、ネガティブな俺が頭を抱えながら


ネガティブな俺 「やばい、やばいよ、どうしよう。あーー!世界の終わりだー!!」


と、奇声を上げる。そこにポジティブな俺が


ポジティブな俺 「煩いぞ俺!!静かにしろや!」


と言って声を荒らげる。すると、目を閉じて腕を組んでいる堅物な俺が威厳のある声で


堅物な俺 「煩いのは貴公も同じであろう!今はそんな事より議長の話を聞くのが先だ!」


と言いながら片目を開けて上座に座る俺を見る。真面目な俺はガベルを叩きながら声を張り上げる。


真面目な俺 「ありがとう俺!!皆、聞いてくれ!いいか、ついさっき俺が緑川さんにキスをされた!これは由々しき事態だ!!誰かこの事態を乗り越えるいい案はないか?!」


すると、ナヨナヨしている弱腰な俺が手を上げながら


弱腰な俺 「よし、逃げよう!!」


と言って席を立つ。だが、隣にいた乱暴な俺が弱腰な俺の頭を掴んで


乱暴な俺 「馬鹿が!いいか、この会議に弱気な俺は必要無いんだよ!」


と言いながら弱腰な俺をぶん投げる。

弱腰な俺はそのまま気絶し、ナイチンゲールな俺が看病している。その後、中々良い案が出ない為、短期な俺が癇癪を起こしたが冷静な俺が


冷静な俺 「なぁ、俺の方から緑川さんを茶化して見るのはどうだ?」


と、誰もが一度は思い、されど俺には無理だと一瞬にして諦めた事を提案して来た。

すると、イケメンな俺が


イケメンな俺 「いい案はじゃないか!俺は賛成だ!」


強気な俺 「いいね!俺も賛成だ!俺はやられっぱなしは趣味じゃねーんだ!」


悪戯好きな俺 「はーい!俺もさーんせーい!緑川さんをびっくりさせてやろーぜ!」


堅物な俺 「ふん!た、偶にはいいんじゃないか」


続々と賛成していく俺達を見て、真面目な俺はガベルを叩きながら


真面目な俺 「よし!では次に、緑川さんを茶化すのに何かいい案は無いか?」


と言う案に対してイケメンな俺が手をあげて


イケメンな俺 「それならいっその事、緑川さんに顎クイをしながら耳元で『芽依』って囁いてみれば?」


と、提案する。するとイケメンな俺以外の全ての俺が


一同 「「「「……はぁ????」」」」


と言って首を傾ける。

それを見たイケメンな俺はため息を吐きながら


イケメンな俺 「はぁ、いいか俺達!顎クイからの囁きと言えば少女漫画ではお約束の落としテクの一つだ!つまり、いくら男慣れしてそうな緑川さんでも必ず顔を赤らめ、恥ずかしがるに決まっている!!……多分!」


イケメンな俺は立ち上がり、右手を挙げながら説明する。すると、説明を聞いた全ての俺から


一同 「「「「「おおーー!!!」」」」」


と言う関心の声がこだまする。

誰かが小声で「童貞なのに……」と呟いていたが、イケメンな俺は華麗にスルーした。

そして、議長である真面目な俺がガベルを叩きながら


真面目な俺 「では、イケメンな俺の案で決定と言う事でよろしいですかな?!」


俺達に聞くと一同揃って


一同 「「「「「意義なし!!」」」」」


と言って可決された。




緊急会議から戻ってきた俺は、早速右手で緑川さんの顎をクイっとさせながら耳元に思いっきり甘ったるい声で


「そう言うだって耳が真っ赤になってるぞ」


と囁く。すると緑川さんは俺の予想とは違い、真っ直ぐ俺の事を見つめながら


「だってしょうがないじゃないですか…私は木村さんの事が……す、好きなんですから!」


俺に告白をして来た。

俺は緑川さんの目を見ながら


「本当に緑川さんは俺の事が好きなの?」


再確認すると、緑川さんは


「はい。私は木村さんの事が好きです!あの日、木村さんが私を助けてくれた日から!」


顔を真っ赤にしながら告白する緑川さんに俺は何も言えなかった。

たしかに俺は、南ちゃんや東子ちゃんのお陰で少しずつ女性に対して前向きになって来たが、それでもまだ女性と交際する事は出来ないだろう。それに俺はまだ、南ちゃんや東子ちゃん、真白さんからの告白の返事をしていないので、ここで緑川さんからの告白に対して返事をする訳にはいかない。


つーか、側から見れば美人や美少女4人から告白されるとかどんなご褒美だよ!!世のモテない男子が聞いたら血涙を流しながら包丁を持って襲ってくるレベルだぞ!!本当に勘弁して欲しいよ全く、俺はいつから風○郎やキ○トになったのやら……



いつの間にか話が逸れたが、俺は緑川さんの告白に対して返答する。


「ごめん緑川さん。君の気持ちに応えることは出来ない……」


俺はそう言って頭を下げる。すると緑川さんは瞳を湿らせながら必死に笑みを作って


「大丈夫です。私じゃ木村さんの事を振り向かせられないと分かっていましたから。それに、私が木村さんを思う気持ちは変わりませんのでーーーッ?!」


と言って、痩せ我慢をする緑川さんの事をいつの間にか俺は強く抱き締めていた。

俺が抱き締めた事に驚いた緑川さんは顔を赤くしながら


「えっ?!ちょっ!いきなりどうしたんですか木村さん??いえ、別に嫌と言う訳じゃ無いんですけどね。いきなりだったんで驚いたと言うか、心の準備が出来てなかったと言うか…」


照れている緑川さんに俺は


「ごめん緑川さん!俺、本当は緑川さんの気持ちに気づいていたんだ。でも怖くて……本当、俺って卑怯だよね」


そう言って俺は緑川さんから離れる。

すると緑川さんは笑いながら


「そうですね。木村さんは卑怯ですよ!だって、こーんなに可愛い女子高生から告白されているのに、堂々とキープするって言ってるんですから!」


と言って緑川さんは頬を膨らませる。


「い、いや、別に俺はキープしたい訳じゃ無くて、ただ今の俺じゃあ緑川さんの気持ちに応える事が出来ないから待っててくれって意味で」


俺は慌てて弁解したが、緑川さんは不満そうな表情をしながら


「もーう!それがキープって事なんですよ!全く、木村さんはそうやって東子先輩や日和ちゃんもキープしてるんですか?」


「えっ?!いやいやいや、たしかに東子ちゃんには返事を待って貰っているけど、別に日和から告白なんてされていないよ!それに俺と日和がいくら従兄妹だとしても、流石に日和が俺の事を好きな訳ないだろ。全く、緑川さんは面白い事を言うねぇ〜」


すると緑川さんは「この人マジですか?」と言いたげな表情をしながら


「まぁ木村さんがそう思っているのでしたら私はそれでいいですけど、それよりも木村さん!お願いがあります!」


「お願い?」


俺が首を傾けながら聞くと緑川さんは


「はい!木村さんは私の事を名字で呼んでいるじゃないですか!」


「えっ?うんそうだね」


「ですから、私も日和ちゃんや東子先輩みたいに下の名前で呼んで欲しいんです!もちろん木村さんの事も京さんって呼びますから!」


「いや、流石に下の名前で呼ぶのはちょっと……」


俺が渋っていると緑川さんが頬を膨らませながら


「えー!!東子先輩は下の名前で呼んでいるのに何で私はダメなんですか?!そんなのエコ贔屓ですよ!!ブーブー!!」


と言って抗議して来たので俺は仕方なく提案を飲むことにした。


「分かったよみ、じゃなかっため、芽依ちゃん……これでいいかな?」


俺が恐る恐る聞くと芽依ちゃんは


「うーん、少し怪しい所でしたけどまぁいいです!それじゃあこれからもよろしくお願いしますね京さん!」


と、心の底から嬉しそうな笑顔で答えたのだった。その後、俺は気絶している犯人達を一箇所に纏めると、青山さんに連絡をしてパトカーと救急車を呼んでもらった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


と言う訳で、ついに芽依が京に告白をしました!!ただ自分としても、日和との勝負の最中に告白するのは卑怯かなぁ〜と思ったんですが、芽依が告白するタイミングはここしか無い!と思い書きました。それにしても、京ってやっぱり女誑しなんですかねぇ?最近、とある映画で女誑しと言うセリフを聞きましたが、自分は京の方が100倍くらい女誑しだよなぁ〜と思いました。



次話はなんと100話ですよー!!

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