囚われの芽依


京達が住む町の外れには、使われていない廃工場が幾つか存在していて、不良や暴走族などの集会所として使われている。


そして、現在芽依はその中の一つでも一番古い廃工場にて監禁されている。




錆びた鉄の香りと、壁の穴から入る風の音で芽依は目覚める。


「う、うーん、ここは何処なの?!それに手足も縛られているし……私はたしか、帰ろうとして後ろから……ッ!!まさか私、誘拐されたの?」


起きた芽依はまず、自分の置かれている状況を確認する。昔からその容姿のせいで痴漢やストーカーなどの被害を何度か受けて来た芽依は、まず冷静に対処する事が大切だと理解しているからだ。


「ここはどこかの廃工場見たいね。それに、外がまだ明るいから夕方ぐらいかしら?誰もいないみたいだけど、この状況じゃあ逃げるのは無理そうね。スマホは……ダメね、取られてるわ……どうやって逃げよう……」


芽依が思考を巡らせていると扉が開き、数人の男女がやって来た。その先頭には、芽依も知っている人物がいる。その人物は芽依を見るとタバコを吹かしながら


「やぁ緑川さん。お加減は如何かな?」


と言って、笑みを浮かべる。

芽依はその人物を睨みながら


「ええ、お陰様で最悪よ。所で、なんで私を誘拐したのかしら。これって普通に犯罪よね?退学じゃあ済まないわよ影浦君!!」


そう、芽依を誘拐したのは影浦だったのだ!


影浦はタバコを捨てると


「知ってるよ緑川さん。それにしても、よくこの状況でそんなに冷静にいられるね。はみんな揃ってギャンギャン泣き喚いていたのに?」


と、感心したような表情で話す。

その話しを聞いて芽依は汚物を見るような目で影浦を睨見ながら怒鳴る。


「他の女の子達ってまさか……影浦君貴方って人は!!」


「正解だよ緑川さん!そう、こうして誘拐したのは君が初めてじゃないよ!」


影浦は、自分の話を理解した芽依に対して拍手を送る。


「それで、貴方の目的は何?」


芽依が聞くと影浦は


「簡単だよ!君に生徒会選挙を辞退して欲しいんだ!そして、次の会長には俺を推薦しますって公表して貰いたいんだよ!」


「そんな事出来るわけないじゃ無い!」


と、拒否する芽依に影浦は


「うーん、いいかい緑川さん。出来る出来ないじゃないんだよ。君はしかないんだよ。おいやれ!」


「「おう!」」

と言って、後ろにいる男達に声をかける。


「な、なにをする気!?」


「「ぐへへ」」


すると男達は芽依に近づき、身動きを取れないようにすると影浦が芽依の服に手をかけながら


「ふふふ、これから君は俺達と楽しい事をするんだよ!ふふふふ」


と言って、下卑た笑みを浮かべる影浦に傍観していた黒磯が


「ま、待ちなさい隣寺君!それ以上は流石に拙いわよ!!ただでさえ誘拐でも充分犯罪なのに、その上強姦なんて……」


と言って止めようとするが、影浦は鬱陶しそうな表情をしながら溜め息を吐くと


「はぁ、今いい所なんですから黙ってて下さいよ奈緒さん。それに、今更もう遅いんですよ!」


「それでも……」


食い下がる黒磯に影浦は頭を掻きながら


「あーもー!鬱陶しい女だな!!もういいや、お前も一緒に楽しんでやるよ!」


ビリ!


「キャー!!」


「うるせー!」


バシ!!


と言って、黒磯のワイシャツを破くと叫び声を上げながら暴れる黒磯の頬を叩く。


「ふん!大人しくしてろ!」


と言って影浦は黒磯を突き飛ばす。すると芽依は侮蔑の篭った声で


「うわ、最悪ね。死ねばいいのに」


と言って影浦を睨む。

すると影浦は芽依に近づき


「なんだと?」


と影浦が聞くと、芽依は余裕の表情を見せながら


「ふん!死ねばいいって言ったのよ!大体、女の、それも顔に手を挙げるなんてサイテーな奴ね!見てくれが少しいいからってなんでも許されると思ったら大間違いよ!!」


と言って影浦を睨む。

すると影浦は芽依の髪を掴みながら


「いいだろう。その余裕ぶった顔が絶望の表情に歪ませてやるよ!」


と言って、芽依のワイシャツを脱がしていく。その光景をみて、芽依の中で徐々に恐怖が湧き上がる。


「いや、いや、止めて…お願い……」


それを見た影浦は笑いながら


「いいねその表情!そそられるね!!ふふふ、止めねーよ!」


と言って、最後のボタンを外すと今度はスカートへと手を伸ばす。


芽依は涙を浮かべながら叫ぶ。


「いや、助けて、助けて……陰キャさん……木村さん!!」


「ギャハハ!誰も助けに来ねーよ!」


下卑た笑みを浮かべる影浦達だったが、その後ろで勢いよく扉が開き視線を向ける。


ドン!!


すると、開け放たれた扉の前には息を切らした男が立っていた。


「はぁ、はぁ、はぁ、なんとか間に合ったようで良かったよ緑川さん!」


男がそう言うと、芽依は涙を流しながら大声で叫ぶ。


「あ、ああ、木村さん!!」



いつの間にか京を見る芽依の表情は、先程までの恐怖に染まった表情から安堵の表情に変わっていた。


********************


ご存知の方も多いと思いますが、なんと「普段は陰キャのだが、実はハイスペックでイケメンな件」がもうじき100話となります!!


それを記念して、IF STORY「もしも〜〜だったら」を3つ程投稿したいと考えています。既に2つは決まっていますが、残り1つはまだ決まっていません!そこで、皆様からのリクエストをお待ちしていますので、宜しければコメント欄にてお知らせ下さい!

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