白羽の矢

※続きです。



しばらくして、生徒会室に到着すると私は2人を生徒会室へと入れる。


「2人とも、どうぞ入って」


「はい。ありがとうございます」


「ありがとうございます東子先輩」


2人を備え付けのソファに座らせると、私はお茶を持って対面に座り話し始める。


「それじゃあ早速だけど、本題に入らせてもらってもいいかしら?」


すると木村さんと芽依ちゃんは


「大丈夫です!」


「珍しいですね?今まで東子先輩からお誘いなんて無かったのに?あっ!もしかして選挙の事で何かありましたか?」


木村さんは大丈夫なようだが、芽依ちゃんがとても厄介そうだ!


てか、なんでわかるのよ芽依ちゃん?!


何? 前世は名探偵か、何かなのかな?


私は少し間を置いてから話し出す


「実は木村さんに折り言ってお願いがあるのよ!」


「お願いですか?」


「ええ、私としては是非木村さんを会長推薦として、選挙に参加して欲しいのだけど如何かしら?!」


私が話すと、案の定木村さんは驚いた様子で


「あの!どうして私なんですか?私なんかよりも、経験豊富な人っていますよね?」


「ええ、たしかに木村さんよりも実績のある候補者はいますが、私は木村さんにこそ生徒会長をやって欲しいのです」


私が話していると突然芽依ちゃんが声を上げる


「東子先輩。そうゆう社交辞令は辞めて先輩の本音を聞かせて下さい。じゃないと、日和ちゃんの友人として私は納得できません!」


そう言って芽依ちゃんは、普段は見せないような態度で私に話しかけてくる。

呆気に取られた私はすぐに正気に戻り、芽依ちゃんの方を見てから今度は木村さんの方を見る。


「流石芽依ちゃんね。ごめんなさい木村さん。貴女を推薦した理由はそれだけじゃないのよ」


私は木村さんに向かって軽く謝罪をすると、今度は木村さんが


「それでしたら、どうして私を推薦して頂いたんですか?」


「実は、推薦予定だった副会長の平和島さんが事故で入院して選挙を辞退してしまったのよ。それで、私は他の候補者に会長になって欲しく無いの!だから面談してみて、私と同じ感性を持っている木村さんに会長になって貰いたいの」


私が話し終わると芽依ちゃんが


「すみません東子先輩。それはつまり、東子先輩の個人的な事情で日和ちゃんを巻き込むって事ですよね?」


芽依ちゃんからの質問に私は


「ええその通りよ芽依ちゃん。これは私の個人的な事情よ」


私の返答に対して芽依ちゃんは立ち上がって


「そんな事が許される訳ないじゃないですか!」


次第に感情的になっていく芽依ちゃんに木村さんが


「落ち着いて芽依ちゃん!どうしたの?なんだかいつもの芽依ちゃんらしく無いよ?」


「・・・・・そうね。ごめんなさい東子先輩感情的になってしまいました」


木村さんの言葉で、落ち着いた芽依ちゃんが私に謝ってくる。

私は芽依ちゃんに


「大丈夫よ芽依ちゃん。私の方こそごめんない。ただこれだけは分かって欲しいの!私は別に木村さんに対して強制するつもりも無いし、木村さんが会長になったとしても私が口を出す事は無いわ!だから木村さん。どうかお願いします」


私は、木村に向かって頭を下げる。

すると2人は驚いたようで、お互いの顔を見合わせてから、木村さんが


「ねぇ芽依ちゃん。私、選挙にでるよ!せっかくのチャンスを逃したく無いし、それに葵先輩がここまでお願いしてるのを無下にしたくないから!」


木村さんの話を聞いて、一度大きくため息を吐いた芽依ちゃんが


「分かったわ日和ちゃん。私からはもう何も言わないわ」


芽依ちゃんが折れると、木村さんが芽依ちゃんに抱きついて


「ありがとう芽依ちゃん!私、頑張るからね!」


すると芽依ちゃんは慌てて


「こら日和ちゃん!離れなさいって!」


「えー、そんな事言わないでよ。もー、芽依ちゃんのケチ!」


木村さんは頬を膨らませなが不満げな顔をしている。


「うふふふふ」


2人のやりとりを見ていて、私は思わず笑ってしまった。


すると2人は顔を真っ赤にして黙ってしまった。


「「・・・・・」」


静寂に耐えかねた私は、2人にこれからの事を話そうとすると


カーンコーンカーンコーン!!


と、チャイムが鳴ってしまった


「チャイムが鳴ったからこの話の続きは放課後で良いかしら?」


と聞くと、木村さんは


「はい。大丈夫です」


と言いって頷くが、芽依ちゃんは


「えっ?私も参加して良いんですか?」


と、聞いて来たので私は


「もちろんよ!木村さんと私だけよりも、芽依ちゃんが居てくれた方がいいと思うしね」


「分かりました。私も参加させてもらいます」


芽依ちゃんは案外すんなりと了解したので、私は少し驚いたが、それほどまで木村さんと芽依ちゃんの関係が良好なのだと納得した。



こうして、私と木村さんと芽依ちゃんによる

『木村日和を会長にしようの会』が設立した。

そしてこの後、放課後の会議で遅くなってしまい、木村さんの提案で3人で京のマンションへと向かう事になるのであるが、この時の事を私は今でも後悔している。


なんで木村さんにキム兄の事をもっと早く聞いとかなかったのかと。

もし私がちゃんと聞いていれば、あの2人があんな事になるなんて無かったかも知れなかったのに・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


以上で、東子sideの話はお仕舞いです。

次回は京のマンションから帰ってきた芽依ちゃんsideのお話になりますので、どうぞお楽しみに〜


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