番外編 日和のお弁当
番外編です。
俺は今、もの凄く困っている。
現在時間は午前7時5分。俺はいつものように朝食を作り終え、自分と日和のお弁当を作っている最中だ。
普段ならば既にお弁当も作り終わり、日和を呼んで朝食を食べる筈なのだが、俺はキッチンで頭を抱えている。
その理由はと言うと・・・
日和のお弁当が完成していない!!
今日は久しぶりにキャラ弁に挑戦しているだが、肝心のキャラが未だに決まっていないのだ!
最初は、みんな大好き「ピッカチュー」にしようと考えていたのだが、朝のニュース番組で今女子高生の間で「ミーニオーンズ」が流行っていると取り上げられていたので、どっちにするべきか迷っている。
幸い、どっちも黄色なので錦糸卵を使って作ることが出来るから良かったのだが、どっちにするべきかは決まっていない。
(ヤバい!このままだと日和が来る!)
俺は焦っていた!普段俺は、お弁当の中身を日和には見せず、昼食の時まで秘密にしているからだ。
刻一刻と時間が過ぎていき俺は最終手段にでる。
どちらが人気か調べる。
俺はすぐにスマホを手に取り調べると、ニュースでやっていた通り、「ミーニオーンズ」の方が人気だったので俺は、すぐに取り掛かる。
まず、お弁当箱にご飯を詰めて形を作り、その上に錦糸卵を乗せる。口には海苔の佃煮を乗せ、目は半分に切ったゆで卵、そしてトレードマークのサングラスは海苔を切って乗せて、後は周りにおかずとなる唐揚げやブロッコリーのサラダ、ハムチーズ巻きなどの彩りを飾ってと!
ジャッジャーーン!! 完成だー!!
俺は完成したお弁当をスマホで撮ってから蓋をして包む。
ちなみに、撮った写真は俺のお弁当ブログに載せている。
実はこのブログがかなり好評で、現在フォロワーが約10万人程いるので、俺の貴重な収入源の一つでもあったりする。
思っていた以上にキャラ弁が上手く出来た俺は、ウキウキしながらブログの更新をしていく。
俺がブログの更新を終わらせると、
ピーンポーン!!
とチャイムが鳴り、ちょうど日和がやって来る。
「おはようキョー兄。?朝から機嫌が良いみたいですけど、何か良いことでもありましたか?」
「お!分かるか日和!実はお弁当が上手く出来たから、楽しみにしていてくれよ!」
俺がそう言うと、日和は目をキラキラさせながら
「やったー!!キョー兄のお弁当って美味しいし、綺麗だから大好きなんだー!!」
と、笑顔でバンザイしながら軽くジャンプする日和を見て俺は
「あはは、ほら早く朝食を食べちゃいな!」
と言って、平静を装っているが、実は・・・
(はい、可愛い!!マジで天使だよこの子!
この笑顔の為なら、俺はなんでも出来る気がする)
と、内心ではお祭り騒ぎの状況になっていた。
そのあと、俺は日和を見送りリビングへと戻ると、叫び声を上げた。
「ぎゃあああ!!!」
何とカウンターの上に、日和のお弁当が置いてあるのだ!
「な、なんでだ!?あっ!まさか日和のやつ、俺のお弁当と間違えて持っていったのか!」
俺は焦る。日和のお弁当はキャラ弁だが、俺のは普通のお弁当だ。
「今からなら急げば間に合う筈だ!」
俺はお弁当を持ってすぐに部屋を飛び出し、バイクを走らせる。
ここから日和の高校までは、歩いて約15分程度。まだ日和が出発してから、7分程しか経っていないので、今ならバイクを飛ばせば途中で会える。
俺はバイクを走らせながら歩道の方を見る。
すると、走らせてから5分程で日和を発見した俺はすぐにバイクを寄せて日和を呼ぶ。
「おーい、日和!!」
すると日和はもちろんのこと、周りにいた他の学生達もこちらに視線を向ける。
(あっ、やっべ!みんなこっちをめっちゃ見てる!取り敢えずヘルメットしてるから素顔は分からないから大丈夫だよな?)
普段から、日和との関係を上手く隠しているつもりの俺だが、今はお弁当のことで頭が一杯で忘れていた。
俺が後悔していると、日和が駆け寄って来て
「どうしたのキョー兄?何か忘れ物?」
「いや違うが、お弁当を間違えてるぞ!ほら」
俺は持ってきたお弁当を日和に渡す。すると日和が
「本当だ!ごめんなさいキョー兄!間違えちゃった」
と言って、鞄に入っているお弁当を取り出して、俺のと交換する。
「全く、今度からは気をつけてな!」
「うん。ありがとうキョー兄!」
「ああ、それじゃあ俺は帰るぞ」
「じゃあねキョー兄」
「またな日和」
俺は日和に手を振るとバイクを走らせる。
途中ミラーで日和を見ると、こっちに向かって、手を振り続けていた。
少しして、部屋に戻った俺はいつも陰キャの姿に変装して、大学へと向かった。
☆☆☆☆☆☆☆
日和サイド
お昼休み
私は、いつものように友達と一緒にご飯を食べようとお弁当の蓋を開けると、私と友達はびっくりした。
蓋を開けると「ミーニオーンズ」のキャラ弁だったからだ!
それを見て私と友達は、
「「か、可愛い!!」」
と、二人して同時に同じ事を言ってしまう。
でもしょうがないと思います!
だって、もの凄く可愛いんですもん!
こんなのどうやって食べたら良いか分からないじゃないですか!?
私が悩んでいると、友達が欲しいと言ってきたので、一口だけあげる事にしました。
すると、もっと欲しいと言ってきましたが、私はダメ!と言って、お弁当を全部食べました。
なんたって、キョー兄が私の為に作ってくれたお弁当なんですからね!
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次回より本編に戻りますので、どうぞお楽しみに〜
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