デートに向けて


デート3日前


いよいよ運命の三角デートを3日後に控え、俺は準備を進めている。


 当日は、南ちゃんが車を出してくれるので俺はバイクで葵家の方へ向かい、その後車で向かう事になった。


 現在俺は、チケットの手配や当日のファストパスなどの手配をして、アトラクションの予習をしている。


TDWは離小島を利用して作られており、広さは大体、淡路島位ある島の半分を占めている。

山や海をふんだんに使ったアトラクションが数多くあり、有名どころでは高低差を利用した[ウォーターマウンテン]や洋館を丸々1つ活用した[スリラービルディング]と言ったものから、アスレチックや景色などを楽しむ施設もある。


そして、なんと言ってもここで1番期待できるのはTDWオリジナルの料理やお菓子などだ。


TDWでは、料理研究家と共同で嗜好を凝らした食事や有名パティシエの監修の元に作られたお菓子やケーキなどが数多く存在しており、俺は昼食に中にあるホテルのレストランを予約してある。

そんなウキウキの中、俺は黒羽から言われたあの言葉を思い出した。


「ちゃんと答えを出さないと、先輩だけじゃなくて他の2人も苦しむことになりますからね!」


この言葉を言われてから俺はずっと考えていた。


どうすれば今の関係のままで居られるのか?


どうすれば誰も傷つかないでいられるのか?


どうすれば俺はこの罰から解放されるのか?


しかし、答えどころかいい打開策さえ見つからなかった。


本当、某有名青春ラブコメのヒッキー君はよく答えを出せたと思うよ。


でもこのデートの後に何も答えが出なければ、2人に言う言葉は決めている。


俺は、ベットに横になりながら誰もいない部屋でそう呟いて瞳を閉じた。


デート前日


いよいよデートを明日に控え俺は久しぶりにリューと会っていた。


「久しぶりだなリュー!元気だったか?」


「おお!久しぶりキョー!悪いな最近会えなくて、ドラマの撮影で地方のロケが多くてさ!これお土産」


そう言って、リューは土産の明太子を渡してきた。


どうやら,今回は福岡のようだ。


「悪いな、いつも貰ってばかりで」


「いやいや、気にするなよ。俺とお前の仲だろ!それに今日はなんか相談でもあるって顔してるぞ!」


「流石だな、その通りなんだよ。実はな・・・・」


俺はリューに今回までの大まかな流れなどを全て話した。


「・・・俺から言えることは、取り敢えず明日必ず答えを出せってことだな!」


「お前もかよ!黒羽といい、お前といい、本当に」


「いや、そんなこと言われてもしょうがないだろ」


「まぁ、そうだよな・・・」


「頑張れよキョー。お前ならきっと答えを出せるさ!」


「ありがとうな、お前が親友で本当に良かったよ」


「それじゃあなキョー!またしばらくロケがあって会えないが元気でな!」


「ああ、お前もな!」


俺とリューが立ち上がって帰ろうとした時、突然リューが何かを思い出したようで俺に話しかける。


「あっ!後なキョー、明日は・・・」



リューの話が終わると、俺とリューは熱い握手を交わした。




*****


side東子


いよいよ、明日に迫ったデートのために私は今、自分の部屋で服を選んでいる。


予報では、明日は晴れなのでそこまで厚着をしなくても良い。


正直私は、自分のスタイルには自信がある方だけど南姉さんは私よりもスタイルが良い上、胸も大きい。


この時点で差が開いているので、服でその差を少しでも埋めたいと思っている。幸い南姉さんは普段からオシャレにそこまでこだわりがなく、大学でも白衣を羽織っているのであまり服に対して知識が無いのも有難い。


何着か着て、鏡で確認してから約30分ほど過ぎてようやく服が決まった。

あとは明日の為に早く寝ることにしよう。



☆☆☆☆☆☆☆☆


side南


楽しみにしているデートを明日に控え、私は朝から書類整理をしている。


幸い書類はそこまで多くないのでなんとかなるが、それよりも明日着ていく服を考えるのに頭が痛くなる。


私は子供の頃から、あまり服と言う物に対して頓着がほとんど無く、同世代の女子達からもよく言われていた。


本当は大学で、木村君に遠回しに好みを聞こうとしたのだけどあの一件から避けられているようで、ほとんど話す事ができなかった。


メールを送っても返信はと言うと、一言ぐらいしか帰ってこないので、明日は久しぶりに話ができそうでなんだかドキドキする。


ようやく書類を片付けるとすぐに講義の時間になったので私は講義室へと向かう。


講義を終わらせると、私の元に1人の学生がやってきた。黒髪で見た目が中学生くらいの女子だ!名前は確か「黒羽梓」だったかな?よく木村君と一緒にいる所を見るから覚えていた。


私が「どうかしましたか?」と質問すると彼女は口を開き予想だにしない言葉を言う。


「すみません葵助教授、この後お時間よろしいですか?大事な話なんです」


「うーん、貴女にとって大事な話でも私には大事な話なのかしら?」


「はい!大事な話です」


「そう、それなら場所を変えましょう。私の研究室へどうぞ」


「はい」


私は彼女を連れて研究室の方へといく。


「で、大事な話って何かしら?」


「はい、単刀直入にお聞きしますが、葵助教授は木村先輩の事が好きなんですよね!?」


「・・・・えっ?!なんで?」


「先輩から相談されたんですよ。あっ!先輩は名前を伏せていましたが梓は知ってるんですよ、先輩が葵助教授の道場に通ってることも、実は先輩が陰キャの格好しているだけで、本当はカッコいい人だって言う事も。

あと、この前葵助教授が出場した大会に先輩が応援に行ったこともです」


「恐れ入ったわ、貴女見かけによらず凄いのね」


「ディスられているのはまぁいいとして、先程の返答はどうでしょうか?」


「ええ、私は木村君のことが好きよ!これは私の本心であり、嘘偽りない答えよ」


「そうですか」


「そうゆう貴女はどうなの?よく木村君と一緒にいるわよね?」


「梓ですか?もちろん大好きですよ!

あの人は梓の王子様ですから!」


「そう、それでそのことが大事な話なの?」


「いいえ違います。ここからが本題です。さっきこの前相談を受けたって言いましたけど、おそらく先輩はお二人のことを振るでしょう」


「な!貴女に何がわかるの!いい加減にして!」


「落ち着いてください、別に怒らせる為に言った訳ではありません。それよりもお二人には、先輩の事を助けて欲しいんです」


「??、どうゆう事かしら」


「今までの話から、先輩は過去に女性関係でトラブルがあったんだと思われます。それも予想では、かなりキツイ事があったと思います。それこそ、ニ度と女性と恋愛をしたくなくなるほどのキツイ事が・・・」


「それを私に話して、貴女になんの得があるの?」


「そうですね、現状先輩は梓の事をただの後輩か、妹としか見てないんですよ。それじゃあ多分、先輩の傷は治せないと思うんです。だから、先輩に対して真正面から自分の気持ちを伝えているお二人なら、なんとかなるんじゃないかなと思ったんです」


「そう、いいわ!その話に乗ってあげる。でも待っている間に、私に取られても文句言わないでよね」


「その時は奪って見せますよ!」


「「ウフフ」」


「時に黒羽さん」


「なんですか?」 


「貴女、オシャレとかは得意?」


「へぇ?」




そしてデート当日

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