運命の日


 そしてデート当日



 朝の3時半


 俺はまだ少し重い瞼を開きアラームを止めて起き上がる。


「よし!」


 洗面台で顔を洗い終わるとキッチンへと向かい、朝食の準備をする。


 別に、途中のサービスエリアなんかで食事を取ってもいいのだが、せっかくなので俺が作る事にした。


 あとどうせ、東子ちゃんがすぐにお腹空くだろうしね。


「それじゃあ始めるか!」


 俺はテキパキと朝食を作り始めた。


 今日は南ちゃんの車で行くので、道中でも食べられるようにサンドイッチとおにぎりを用意しておく。


 俺の勘は、南ちゃんはご飯、東子ちゃんはパン派だと言っている。


 確証は無い!


 ちなみに、現在の時間は4時前、集合は朝の5時なのでここを4時半前に出れば大丈夫だ。


 外はまだ太陽が昇りきっていないので、若干薄暗い。

 

 身支度を整え、バイクに乗って葵家へと向かう。


 葵家に到着するとすでに南ちゃんと東子ちゃんが玄関前にいた。


「おはよう2人とも、早いねまだ集合まで10分あるけど?」


 俺はバイクから降りて二人に挨拶をする。

 すると、東子ちゃんが嬉しそうにやってきた


「ずっと楽しみだったからねー、そうでしょ南姉さん!」


「そうね、不本意だけど東子の言う通りだわ!さぁ木村君も来たし、少し早いけど出発しましょうか?」


「あっ!ちょっと待って、師範達に挨拶をしてくるから」


「大丈夫よ、2人ともまだ寝てるし、昨日のうちに話してあるから」


「そ、そう、それなら出発しようか」


 俺たちは南ちゃんの愛車である、インプレッサに乗る。


 ちなみに、南ちゃんの運転はエリーナさんほどでは無いが上手いので、特に心配はしていない。


「そうだね!それじゃあ南姉さん運転お願いね!」


「任せなさい!それじゃあレッツゴー!!」


 こうして、俺と美人姉妹との楽しい楽しい3人デートが始まった。


 車を走らせてしばらくすると、予想通り東子ちゃんが


「ねぇ、お腹空かない?私何も食べてないからお腹すいちゃった!」


 と言いながら、何故か俺の方を見てくる。


 すると今度は


「東子の言う通りね、私もお腹すいてきたわ!木村君は?」


 南ちゃんの方も、どうやらお腹が空いているようだ。


 俺はドヤ顔で、持ってきていた保冷バッグを開けて


「ふふふ、こんな事もあろうかと朝ご飯作ってきたよ!」


 朝ご飯を二人に見せると、東子ちゃんが嬉しそうに


「やった!ご飯だ!何があるの?」


 と言いながらはしゃいぐので、見かねた南ちゃんが


「こら東子!もっと上品にしなさい!」


 東子ちゃんを叱る。


「うるさいなー、いいじゃんべつに」


 東子ちゃんが口を尖らせながら少し不貞腐れていたので俺は


「まぁまぁ2人とも、南ちゃんはサンドイッチとおにぎり、どっちがいい?」


 運転中の南ちゃんに聞く。


「えっと、それじゃあおにぎりを貰おうかしら」


 予想通り、南ちゃんはおにぎり派だった。


「私はサンドイッチもーらい」


 こっちも予想通り、東子ちゃんはパン派だった。


 俺の予想的中!


「お茶もあるから欲しかったら言ってね」


「「はーい」」


 こうして、道中は特にアクシデントもなく無事TDWへと到着した。


TDWは東京と言っている割に、千葉の近くにある離小島にあるので、橋を渡っての交通手段しか無いから、必然的に時間がかかる。


 車を駐車場に止めて俺たちは入場口へと向かう。


 時刻は9時、すでに開園の時間だけあって入り口付近にはチケットを求めてたくさんの人が並んでいた。


「わー!凄い人だねキム兄!これ並んだら何時間かかるんだろう?」


「そうね、もう少し早く来れば良かったわ」


 心配そうにしている2人に俺は


「大丈夫!ほらこっちだから着いてきて!」


 とチケット売り場とは違うカウンターに行き、係員に話しかける。


「すみません、予約している木村です」


 係員は驚いた様子で


「ご予約の木村京様ですね。何か、証明出来るものはございますか?」


 俺は免許証をわたす。


「これで良いですか?」


「はい、大丈夫です。こちらのチケットをお受け取りください」


「ありがとうございます。ほら南ちゃんに東子ちゃん、受け取って」


「「??」」


「それではこちらからどうぞお入りください」


「ありがとうございます」


 俺たちはそのまま園内に入る事ができた。

 すぐ近くで並んでいた人達からの視線が少し気になったのは言うまでも無い。


「えーと木村君?今のは?」


「ああ実はね、昔母さんがTDWに協力した事があってその時のコネを使って特別にVIP待遇のファストパスを用意してもらったんだよ!サプライズにしたくて秘密にしていたけど」


「凄い!すごいよキム兄!やばいすごい楽しくなってきた。ねぇ早く行こう!私、[ウォーターマウンテン]に行きたい」


「こら東子!落ち着きなさい!」


「まぁまぁ、南ちゃんはどこに行きたい?」


「私はこの、[バイキングクルーズ]に行きたいわ!」


「それじゃあ行こうかと、その前にあそこにいるマッキー君と写真を撮ろうか!」


「「オッケー」」


 因みに、マッキー君とはTDWのマスコットのひとりで、水色の人型うさぎだ!


(こいつ、全然可愛くないのになにがいいんだろ?本当に謎だよな・・・)


あと、決して、黒白のネズミはいないからな!


 この後、俺たちはマッキー君と写真を撮り、東子ちゃん希望のウォーターマウンテンへと行き、びしょ濡れになったのは言うまでも無い。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る