楽しい時間と過去の時間
ずぶ濡れになった後、俺たちは売店で売っているタオルを買って服を乾かした。
TDWでは、濡れた服などを乾かす為に専用の施設が各所にあり、無料で利用できると言う素晴らしいサービスがあるので助かる。
その後、幾つかのアトラクションを回り、ちょうどお昼の時間になったので、俺たちは園内のホテルにあるレストランへと来ていた。
お昼時と言うこともあり、レストランには長蛇の列が出来ていたのだが、俺たちは予約をしていたのですぐに席の方へと通される。
予約していた席は一番良い個室を頼んでいたので、景色が素晴らしかった。
俺がそう思っていると、東子ちゃんが窓の外を見ながら
「景色が凄いね、TDWが一望出来るじゃん」
と、凄くはしゃいでいる東子ちゃんの後ろで
「そうね、確かこのレストランって、なかなか予約が取れないって聞いたことがあったけど木村君どうやったの?」
南ちゃんが冷静に聞いてきた。
俺はその質問に対して、ドヤ顔で
「ふふふ、このレストランのアラカルトメニューのほとんどが母さん監修で作られてるからね!このくらい朝飯前だよ!」
と返す。
「流石ね木村君!」
納得した南ちゃんを尻目に、東子ちゃんはメニューを見ていた。
「それで何を食べる?色々ありすぎて選べないよー」
「大丈夫だよ東子ちゃん。今日は特別なコースメニューをお願いしてあるから」
「へぇーそんなのがあるんだ。でもメニューには載ってないよ?」
「そりゃそうだよ、今日の為だけにお願いしたからね」
「木村君、何から何までありがとうね。本当に嬉しいわ」
「いいんだよ南ちゃん、今日は南ちゃんへのご褒美なんだから!それに俺の方こそ車を出してもらってるからね」
話していると前菜がやってきた。
今回はランチと言う事もあり、品数は少なめにしてもらった。
帆立と海老のアボカドサラダ 〜TDW風〜
スープ
トマトと旬の野菜のミネストローネ
ウォーターマウンテン風
魚料理
鯛のポワレ フレッシュソース
肉料理
TDW牛のステーキ
クリームソース
デザート
季節のパンナコッタ
マッキー君風
どれも素晴らしい料理だったが、デザートのプレートにチョコで描かれていたマッキー君が、本物よりも可愛いかったので今度からそっちにすればいいのにと思ったのは内緒だ。
コースを堪能したあと俺たちは絶景スポットの1つである[TDW城]の方に来ていた。
ここでは、最上階から園内を一望出来る展望室があるので写真を撮るには最適なのだが、今回の目的は違う。
実はこの城には、ハリーよろしく秘密の部屋が存在していて、事前に予約を取れば使う事が出来ると母さんから教えてもらっていたので俺はここで2人に気持ちを伝えようと考えている。
人混みを進んでいきTDW城の入り口に到着すると近くにいる係員に声をかけて秘密の部屋へと案内して貰う。
秘密の部屋は城の中央ホールを通るようで俺たち3人は係員の案内のもと進んでいった。
「なんかちょっとドキドキするね南姉さん!」
「そうね、これも木村君のお陰ね!」
はしゃいでいる東子ちゃんとそわそわしている南ちゃんを見て俺はやるせないでいた。
(俺はこれからこの二人のことを・・・・)
俺が悩んでいると背後から突然俺を呼ぶ聞いたことのある声が聞こえた。
「えっ?!きょ、キョー君?!」
俺は咄嗟に振り返ると、そこには・・・
この世で最も会いたく無かった
かつて愛した女性がいた。
「か、楓ちゃん・・・うっ!」
俺は彼女の顔見た途端、胃の中の物が逆流する感覚を覚えた。
俺は思わず口に手を当てるが、次第に視界がぼやけて体に力が入らなくなる。
「木村君、木村君大丈夫?!」
南ちゃんが俺を呼んでいる。
「キム兄!どうしたの!?」
東子ちゃんは心配そうにしていた。
俺の意識はそこで途切れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます