酔いどれ南ちゃん


俺は南ちゃんにお祝いを言う為、酒豪ゾーンへと向かう。


(うっわ!ここだけなんか酒臭いような気がするんだけど!どこのバッカス諸島だよ)


匂いで酔いそうな中、口で息をしながら俺は南ちゃんの元へと行き、肩を叩く。


「やぁ南ちゃん。この間は優勝おめでとう!お祝いが遅くなって申し訳ない」


俺が話しかけると、南ちゃんはとろんとした目でこちらを見てきてから


「ああー木村君だー。やっと来てくれたー。私ずっと待ってたんだよー、なんで来なかったの〜?」


南ちゃんは酔いのせいか、若干呂律が回っておらず、目の焦点が定まっていないようだった。


「ごめんね、俺も忙しくてさ」


「うん、いいの。謝ってくれたから許す。でも・・・・」


「でも?」


「デートになんで東子も一緒なの?ねぇ、な・ん・で・?」


南ちゃんは、さっきまでと打って変わって少し怒った顔をして、俺の腕にしがみついてくる。


なお、南ちゃんの胸が腕に当たっているのは黙っていてくれ。


正直、やばい!


ちょっとでも気を抜くと理性を持っていかれそうになる。童貞には刺激が強すぎだー!


「えーと違うんだよ南ちゃん。本当は2人で行こうとしてたんだけど東子ちゃんがっ!」


俺が弁明しようとすると、南ちゃんが俺の腕をとって関節を決めてきた。


「痛い、痛い!南ちゃんめっちゃ痛いからお願い止めて!」


「私は言い訳を聞きたいわけじゃ無いんだよ木村君。どうして東子が一緒に来るのかを聞いてるのよ、分かった?」


(それを言うのは、言い訳してるのと同じだと思うんだけど?)


「えーとですね、・・・ごめん!これ以上は話せないんだ、許してください」


俺は南ちゃんの前で土下座をかます。

生まれて初めての土下座だけど、かなり綺麗に出来たと思う。


しばらくしてから南ちゃんが


「はぁ、もういいわよ別に。どこか別の女よりはマシだしね」


「???どうゆう事?」


「君は知らなくていい事よ。これは女の戦いなんだから」


「女の戦いってなんだよ・・・」


「もう木村君、気にしないの!」


「ハイハイ、それはそうと南ちゃん、取り敢えず横になりな」


「えーなんでー?」


「もう限界なんでしょ?あの2人には流石の南ちゃんでも無理だよ」


俺はそう言って、近くにある水の入ったコップを手渡した。


因みにあの2人とは師範の奥さんと新庄さんの事だ。

南ちゃんも、結構飲んでいるが二人には勝てなかったようだ。


(まぁ、新庄さんは飲むペースがゆっくりだから仕方ないとして、奥さんは凄すぎだろ!)


水を飲んだ後、南ちゃんは自分の膝を叩き 


「ならさぁー、木村君がひざ枕してよ!そしたら私、すぐに眠れる」


南ちゃんがとんでもない事を言い出した。


「えっ?!いや、ここではちょっと・・・」


こんなに人がいる場所でひざ枕は流石にキツイので拒否をした。


「えー、いいじゃ別に」


俺が拒否すると、南ちゃんは頬を膨らませながらせがんでくる。


(やだ、何この人めっちゃ可愛い!小動物か何かかな?)


「やだよ!恥ずかしい」


それでも俺が拒否をするといきなり耳元で


「ならさ、私の部屋に来ない?」


と囁いてくる。


「へぇ!」


「ほら、早くいこう!」


と俺の腕を取って自宅へと繋がる扉へと向かう南ちゃんに俺は抵抗できないまま引っ張られる。


(えー!めっちゃ力強いんですけど!?)


俺は強引に連れられて、南ちゃんの部屋の前に来た。南ちゃんが連れてきたとは言え、なんだか背徳感がある。


南ちゃんは乱暴に扉を開けて俺を中へと入れる。


南ちゃんの部屋は、白を基調とした家具や絨毯に壁一面に様々な本が敷き詰められ、隅にはトロフィーや道着などが大切に置いてある。


(やべー!めっちゃ緊張する!俺、女性の部屋なんて初めて入ったし、なんかいい匂いがしてきた)


俺が部屋を見ていると南ちゃんが


「ねぇー木村君早くこっち来て」


とベットを叩きながら誘ってくる。


「どうしてもやらなきゃだめ?」


「だーめ、やらなきゃ許さないわよ」


「分かったよ。ちょっとまって、そっちに行くから」


俺はベットに座り膝を叩く。


「ほら、おいで南ちゃん」


「うん」


南ちゃんは俺の膝の上に頭を乗せる。


「どう?乗り心地は大丈夫?」


南ちゃんは、にやけ顔でこちらを見ながら


「すごく、気持ちいい。ねえ木村君、もう一つお願いがあるんだけどいい?」


「何?」


「頭を、撫でて欲しいな」


「いいよ、それくらい」


「ほ、ほんとにいいの?」


「男に二言はないよ」


「じゃあ、お願いします」


「ふふ、なんで敬語?」


ちょっと意地悪してあげると今度は


「う、うるさい」


と顔を真っ赤にして言う。


 正直に可愛い!


「ほら撫でるよ」


俺は南ちゃんの頭を優しく撫でてあげる。南ちゃんの髪は、とてもすべすべで撫でるたびにいい匂いがしてくる。


(やばい!これはやばい!大の髪フェチの俺にはご褒美だが、気を抜くと理性を持って行かれそうになるどころか、すでに半分くらい持っていかれている。耐えろ!耐えるんだ俺の理性!)


「うへへ、なんだか夢みたいだな~。ずっと私、木村君に甘えたかったから」


「えっ!それってどうゆう意味?」


俺が動揺していると今度は


「もう!女の子の口から言わせる気なの?」


と口を尖らせながらさらに追い討ちをかけてくる。


「い、いや、その、ごめん」


俺が謝ると今度は立ち上がっていきなり抱きつく。


「えっ!えっ!ちょっと!」


俺が引き離そうとすると南ちゃんが俺の耳元で


「ねぇ木村君、私と・・・・しようよ」


と囁いてきた。


まさに悪魔の囁き


その瞬間、俺の中で理性と獣がバトルを始めるゴングが鳴った!

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