祝勝会


GW6日目


黒羽とのデートが終わり、昨日俺がご飯を作らなかったせいで機嫌の悪い日和の為にチキン南蛮を作って機嫌を取ろうとしたのだが、残念ながら怒られてしまった。


結局その日は、日和の提案で俺のバイクに乗って2人でツーリングに行きたいと言われたので、俺は日和を連れて湘南までツーリングに行った。


ちなみに、帰ってきた時にはもう夜で、俺は休みを満喫できなかった。



GW最終日


俺は道場を挙げて祝勝会をすると言う事で差し入れを持って葵道場に来ている。

日和も誘ったのだが、友達と遊ぶとの事で断られた。


残念、無念、また来年ってね!


・・・


開始が12時からと言われていたので、俺はバイクに乗り、早めに道場へと向かったのだが、途中で買い物したりして12時過ぎに道場に着いてしまった。


(やべー、時間厳守って言われてたんだよなぁ・・・)


俺が道場に到着すると、騒がしい音が聞こえてきたので、すでに宴会は始まっていると分かる。


「外まで聞こえてるけど、近所迷惑だろこれ?」


 外にいても聞こえてくる声を聞いて、どんちゃん騒ぎをしているんだろうなと思いながら扉を開くと、すでに潰れていてダウンしている師範や他の門下生の人たちを他所に、現在進行形で酒を飲んでいる奥さんや南ちゃんに新庄さん達がいた。


会場はまさに地獄絵図とかしている


(うわー帰りてー。てか、師範がダウンしてるの初めて見たかも!)


と思いながら、取り敢えず安全地帯に一人でジュースをのでいる東子ちゃんの元へといき、話しかける。


「やあ東子ちゃん久しぶりだね」


「あっ!キム兄久しぶり。ごめんね、お父さんちょうど今潰れちゃった所でさ、あれは多分夜まで起きないと思うよ」


「あはは、そういえば師範は下戸だったもんね、あんなに強くて超人なのに酒が弱いって驚いたよ!」


「本当だよ!うちって、お母さんと南姉さんは酒豪なのにお父さんは下戸でさー。まぁ、宴会の時はいつもの事だから皆、そのうち気にしなくなっちゃったんだけどねぇ」


「あはは、それにしてもあっちは凄い事になってるけど、どうしたの?」


俺が指を刺した方では何故か烏丸さんが泡を吹いて倒れていて、その横で遠藤さんが優雅にお茶を楽しむかのように日本酒を飲んでいる。


しかも、よく見ると転がっている2合瓶が5本もある。


(あの量を1人で飲んでんのかあの人は?)


「?ああ、烏丸さんが酔って遠藤さんにまたプロポーズしたのよ、それで遠藤さんがキレて烏丸さんを思いっきりぶん投げて、ああなったの!」


「相変わらずだな烏丸さんは、それにしてもこの道場の酒豪率高くない?」


「そうねぇ、お母さんと南姉さんと新庄さんはあっちでずっと飲み続けるし、遠藤さんもひとりで日本酒飲んでるしね」


と、呆れた顔で話す東子ちゃんに


「てか、何で東子ちゃんは1人でジュース飲んでるの?今日、緑川さんは?」

  

俺が素朴な疑問を聞くと、東子ちゃんは真面目な顔で


「はっ?何言ってるのキム兄、こんな魔窟に芽依ちゃんみたいな純粋な子を置いとけないでしょ!それに、いつもこんな感じだから他の子供達も来てないしね」


「魔窟って、まぁ的は得ているけどさ」


(でもね東子ちゃん、多分緑川さんは純粋な子じゃ無いと思うよ・・・)


「それに芽依ちゃんからはこの前お祝いのメッセージも貰ったし、今度稽古に来るときにちゃんとお祝いするって言ってたからいいの!」


なにそれ狡い!


「・・・ねぇそれ、俺もいいかな?ちょっとあそこのテーブルに行きたくないんだけど」


と、俺は酒豪ゾーンのテーブルを指さす。

すると東子ちゃんは


「だめだよ。キム兄はちゃんとお祝い言ってあげないとさ。南姉さん、こっちに戻ってからキム兄が来ないって煩かったんだからね」


いらん情報をよこすんじゃないよ!

そんな事聞いたら、めっちゃ心が痛むじゃねーか!


「それってさ、もしかして今度のデートに関係してるのかな?」


俺が聞くと、東子ちゃんが


「うーん、どうだろうね?でもそれもあると思うよ。間違いなく!」


俺は東子ちゃんの話を聞いて、情緒不安定になりそうになる。


「うわぁぁぁぁぁぁ、どうしよう絶対殺される!東子ちゃん助けてよ」


高校生の東子ちゃんに助けを求める俺の姿は、おそらく滑稽だと笑うだろうけど、これから起こるであろう地獄に比べれば誰にでも助けを求めるぞ!俺は!


「いやよそんなの!タダでさえ戻って来てから南姉さんに八つ当たり気味でずっと試合させられたんだからね!」


東子ちゃんは、若干逆ギレ気味になって俺に話してくる。

その圧に押されて思わず


「それは、ご愁傷様です」


と言ってしまった。


どうやら俺は、自分で退路をたってしまったようだ。


「そう思ってるなら早く行きなさい!」


「分かったよ。ちょっと行ってくるわ」


俺が立ち上がると東子ちゃんは


「頑張ってねー」


と俺に手を振っている東子ちゃんに


「ハイハイ」


俺も手を振りかえして歩き出す。


俺は嫌々ながらも酒豪ゾーンへと向かう。

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