怒りと涙

黒羽がいなくなり焦る俺は、ひとまず冷静になる様に深く、深呼吸をする。


その後俺は黒羽に電話をかけるが、黒羽は電話に出ない。


嫌な予感がした俺は、辺りを一周するが黒羽の姿はなく、仕方ないので近くにいた人に手当たり次第聞いてみた。

すると、近くにいた人が興味深い事を教えてくれた。


なんでも、俺がくる前に黒羽らしき少女と数人の男が言い争いになっていた所を目撃したらしい。

さらに、男たちは少女を連れて駐車場の方へ向かったと教えてくれた。


それを聞いた俺は全速力で駐車場の方へと走った!


駐車場へと到着すると、俺は黒羽の名前を何度も叫ぶ。



「黒羽!黒羽!!黒羽!!!!」


すると奥の方から女性の声と数人の男の声が聞こえてきた。


「んんんーーー」


「うるせぇぞ!静かにしろ」


「早く車に乗せろ!」


「おい誰かきたぞ!」


俺は声のする方へと向かう。

すると3人の男が黒羽を無理矢理、車に乗せようとしていた。


それを見て俺は怒りを抑えられなく、男たちに大声で叫ぶ


「何やってんだよてめーら!!」


すると男の1人が


「なんだてめー、関係ねぇ奴は引っ込んでろ!」  


「そいつは俺の連れだ!てめーらの方こそ自分たちが何をしてるのかわかってるんだろうな!」


「はぁ?!てめーみたいなクソ陰キャがか?身の程をを弁えたほうがいいんじゃねぇか?」


「だからなんだよ、俺がどんな奴だとしても、決めるのは黒羽だ!てめーじゃねぇ!それよりも、早く黒羽を解放しろ!今なら痛い目を見ないで済むぞ!」


「調子に乗りやがって!やっちまえ!」


男の声と共に他の2人が俺に襲ってきた。


「んんんんーん!」


黒羽は口を塞がれている為、なにを言っているかは分からないが恐らく心配しているんだろう。涙を流しながら、俺に何かを叫んでいる。


そんな黒羽に俺は、優しい口調で


「大丈夫だ黒羽、すぐに助けてやる」


と言って落ち着かせる。


俺は襲ってくる男たちの1人の顔に当身をくらわせてから腕を掴み思いっきり投げる。受け身を取れないように投げたので男は後頭部を強打し、そのまま気絶した。


唖然としている2人のうち、黒羽の近くにいる男に素早く近づき、脛に思いっきり足払いをして、怯んだ所に首を絞めてそのまま投げた。


下手をしたら死なせてしまう技だけど、この時の俺は珍しく頭に血が昇っていてたので、手加減など考えていなかった。


2人を戦闘不能にしてから、リーダー格の男の元へ向かう。

男はすでに、戦意を喪失しているが俺は容赦なくそいつの腕を掴み関節をかける。そして腕の骨を外した。


「いた、いだい、いだいいい!!」


男は泣きながら痛みを訴えてくる。

そんな男を見て俺はさらに怒りが増していった。


「うるせぇ!黒羽はなぁ、お前よりも痛い思いをしたんだよ!たかだか腕一本ぐらいで泣いてんじゃねーよ!」


俺はさらに、逆の腕を掴んでもう一度外そうと力を入れた瞬間


「もう、もういいですから先輩、梓は大丈夫ですから、やめてください先輩」


「黒羽・・・」


と、泣きながら俺の腕に抱きついている黒羽を見て、俺はようやく落ち着きを取り戻した。


落ち着いた俺は、男たちを拘束してから父さんの知り合いの刑事に連絡をした。


ひと段落ついて、2人で待っているといきなり、黒羽は俺に抱きついてきた。


「おい、黒羽!」


驚いた俺は黒羽を引き離そうとすると


「お願いします先輩、もう少しだけ、このままで、いさせて下さい」


黒羽は震える声でそう言ってきた。


俺は黒羽のお願いに答える事にした。


しばらくして、パトカーが数台到着し、

知り合いの刑事さんがきた。


「すみません青山さん。お忙しい中、お呼びだてしてしまい」


「気にしなくていいよ京君、正樹さんには俺も凄くお世話になったんだ!」


「ありがとうございます。それじゃあコイツらの事、よろしくお願いします」


「ああ、任せてくれ!コイツら見たいな奴は、叩けば埃がてでくるだろからたっぷり絞ってやるさ!はっはっはっ!!」


青山さんは、笑いながらパトカーに乗り込み帰っていった。


俺と黒羽は、別のパトカーに乗せてもらい黒羽の自宅の近くに下ろしてもらった。


「すまない黒羽、俺が着いていながらこんなことになって・・・」


俺が黒羽に謝ると、黒羽は


「謝らないで下さい!今日の事は先輩のせいじゃないですし、むしろ先輩は梓の事を助けてくれましたから」


「そ、そうか、でも本当によかった。黒羽を見つけられて、本当によかったよ。

また知らない間に、いなくなってしまうのは嫌だから・・・」


「?誰の事を言ってるんですか先輩?」


「はっ!な、なんでもない。それより、ここで大丈夫か?」


「はい、うちはもう近くですから」


「それなら、俺はこれで帰るから」


「待って下さい先輩。もう少しだけお話ししませんか?」


「別に構わないが」


「それじゃあ、そこの公園に行きましょう」


「分かった」


俺と黒羽は近くの公園に行き、2人でベンチに座った。

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