油断とミス
レストラン街に到着すると、まだ昼前と言う事もあり人も少なかったので、目的の店にもすぐに入る事ができた。
店内は喫茶店風で、落ち着いた雰囲気がなんとも素晴らしい。
ウェイトレスの案内で席に着いた俺たちは、メニューをみている。
すると黒羽が、
「ねぇ先輩、なんでこの店なんですか?」
「ん?ここのオムライスは絶品と評判だからな!一度食べに来てみたかったんだよ」
「ヘェ~、たしかにオムライスのメニューが豊富ですね、どれにしようかなー」
「俺は決まったが、黒羽はどうだ?」
「はい、梓も決まりましたよ」
「それなら注文をするか、すみません!」
俺は、ウェイトレスを呼んで注文をする。ちなみに、俺は昔ながらのオムライスで、黒羽は白いオムライスを注文した。
「楽しみですね先輩!」
「ああ、楽しみだ」
しばらくして、注文したオムライスが到着し、俺たちは食事を楽しんだ。
途中、黒羽の奴が「シェアしましょう」と言って来たので俺は小皿に取り分けてやると、なんだか不満そうな顔をしたのだが、黒羽に聞いても理由を教えてくれなかった。
食事が終わり、俺が代金を払って店を出ると黒羽が
「ごちそうさまです先輩!それでこれからどこに行きましょうか?」
「そうだなぁ、うーん・・・」
困った俺は、周りを見渡すとそこには調理器具のセールと書かれた看板を発見した。
「お!調理器具のセールだと、掘り出し物があるかもしれないし、黒羽ここに行こう!」
「まったく、先輩はそうゆうのには本当に目がないですよね!わかりました、ここに行きましょう!」
俺たちは、セールをしている店へと向かった。
「おお!これは凄いな!やっべ!なんでこれが、こんなに安いんだよ!スッゲー!!」
お宝の山を見て俺は年甲斐もなくはしゃいでしまった。そんな俺みて、黒羽は
「もう先輩!はしゃぎ過ぎですよ!いつもの落ち着きはどこいったんですか?!」
と呆れながら言ってきた。
「うるせー!こんなに素晴らしい物があるのに、落ち着いていられるか!」
「うわ!本当にどうしたんですか先輩?普段、死んだ目をしている時と違って今は、凄く生き生きし過ぎてる目ですよ!」
「なんだよ、生き生きし過ぎてる目って?」
「先輩、鏡って知ってますか?今の自分を見たほうがいいですよ」
「はいはい、分かったよ。黒羽の言う通り、少しはしゃぎ過ぎたのは認めるよ」
「ふふん、わかればいいんですよ先輩!」
「このやろー」
「それで、何を買うか決まったんですか?」
「ああ、この鍋を買ってくるから、外で待っててくれ」
「わかりました。早く来てくださいね」
「はいよ」
俺は黒羽を置いてレジに並んだ。
しかし、俺は忘れていた。黒羽は誰もが認める美少女であり、一人にしてしまう事がどれだけ危険なのかを・・・
レジが終わり、待ち合わせをしていた場所に行くと、黒羽の姿が無かった。
「あれ?あいつどこ行ったんだ?」
この時俺は、黒羽がいなくなってから初めて自分のミスにようやく気づく事になった。
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