間話
梓の王子様
梓編です。
どーもー黒羽梓でーす!見た目が中学生ぽっいですが、こう見えてもぴちぴちの大学1年生でーす!
突然ですが、梓こと黒羽梓は今好きな人がいます!
見た目は暗くてまさに陰キャを絵に描いたような人なんですけど梓はこの人にぞっこんです!
えっ?!なんでそんな人を好きになったか?ですか、その理由はこれからお話ししますから待ってくださいね~!
☆☆☆☆☆
自分で言うのもなんですが、黒羽梓はとてもモテます。梓は周りの女子達よりも背が小さくて中学の頃から周りの男子から可愛いとか守ってあげたくなるなどと言われ何度も告白をされて来ましたが、誰も彼も梓の事を外見だけでしか見てくれませんでした。
梓は次第に、自分の幼児体型がコンプレックスとなっていき、毎日牛乳を飲むようになりました。
でも、高校に上がってからも背は伸びず周りとの体型の差が中学よりもはっきりとする様になったのでみんなが梓の事を子供扱いして来ました。
それでも男子たちからは可愛いと言われ告白をされます。何度も告白してくる男子たちに
「梓のどこが良いの?」
と聞くと誰もが同じような事を言いました。
「その守ってあげたくなる感じ」
「小さくて可愛いから」
「俺は好きだぜ貧乳!」
そんな理由で好きになるなんてどうかしていると言いたいですがまずこれだけは言わせて下さい。
どいつもこいつもロリコンかー!!!
そんな仲、1人だけ梓の事をちゃんと見てくれた人がいました。
彼は同じクラスで梓が困った時に助けてくれました。最初は下心があるんだろうなぁと思っていましたが、彼には全く無かったんです。
それから梓は、彼の事が気になりました。彼はあまり目立たない人でしたが誰にでも優しく、真面目で見ていてカッコいいと思える人でした。
そんな彼に梓はついに告白しました。
彼は動揺していましたが、最終的に梓の告白を受けてくれました。
「やった!!」
とても嬉しかったです。彼となら楽しい高校生活を送れると、そう思っていました。あの日までは・・・
付き合い始めて半月が経つと学年中に梓たちが付き合っていると言う噂が流れ、梓と彼は毎日のように質問責めに合いました。
それでも付き合っている事は誰にも話しませんでした。するとある日、彼が履いている上履きがボロボロにされていました。すぐに先生に相談したのですが、
今度は教科書、そしてついに彼自身にまで怪我を負わされていきました。
これは明らかにいじめだと梓は彼に先生に相談しようと言いましたが断られた上、彼はこう言いました。
「君と付き合ったせいで嫌がらせを受けたんだ!」と
そう、彼をいじめていたのは梓が振った男子達だったんです。梓に振られた腹いせに彼に嫌がらせをしていたんだと梓はその時初めて知り、彼に対しての罪悪感で梓は「別れましょう」と言いました。
彼と別れてから、彼に対する嫌がらせやいじめは無くなりましたが、実行犯たちを梓は許しませんでした。
梓は、自分を武器に実行犯たちに復讐を始めました。
例えば、先輩にお願いして暴力を振るって貰ったり、罠にはめて社会的に抹殺したりと、人には言えないような事をしてまでも実行犯たちに復讐をしました。
それから梓は自分を使って、男子、女子を問わず気に入らない人にありとあらゆる嫌がらせをしていきました。
高校を卒業して、梓は大学へと進学した。それなりに優秀だったので別にどこでもよかったんだけど、どうせなら梓の事を知らない人がいる所に行こうと思い、ここ、平和農業大学の食品化学科に入学しました。
入学初日、梓がひとりで学内を回っていると、数人の男達が梓の周りを取り囲んできた。
「ねぇねぇ、君新入生だよね!良かったら俺たちが色々と教えてあげてるよ!」
明らかに下心のある声で誘ってくるので梓は断った。
「いえ、結構です」
「ちょっと待ちなよ、そんな事言わないでさ!」
梓が逃げようとすると男のひとりが手を掴んで来た。
「離してください!」
「まぁそう言わずにね!」
「誰か助けて下さい!」
必死に助けを求めるが周りは誰も反応しない。もうダメかと思ったその時、ひとりの男の人が現れた。
「その辺にしときましょうよ。これ以上は流石に不味いですよ先輩方」
「何だてめーは?俺たちのじゃまをする気か?」
「はぁ、邪魔をする以前にまず嫌がってる子を無理やり連れて行こうとするのはどうかと思いますよ!」
その人は明らかに見た目が陰キャなのにも関わらず、脅しにも一歩も引き下がらないで梓の事を守ってくれた。
そして痺れを切らした1人がその人に殴りかかったので咄嗟に目を瞑ってしまった。
「うるせ!寝とけやこら!」
「結局、毎回こうなるんだよなぁ」
ドッン!
凄い音がして目を開けてみると衝撃的な光景が目に入った。
なんと、殴りかかってきた男の方が倒れていたのだ!
それに激怒した仲間がその人に襲いかかると、その人は男の手を掴んで投げたのだ!
それはもう綺麗な投げ方だった!
よくテレビで見る柔道の大会なんかで見るような投げだった!
その後は一方的な展開で、全員をその人が倒して終わった。
「ふぅ、怪我は無い?」
「はい、大丈夫です。その、ありがとうございます」
「気にしなくても良いよ!それより、次からは気をつけてね。コイツらみたいなのはそこそこいるから!」
「分かりました。あの!何かお礼を」
「大丈夫、別にお礼が欲しくて助けたわけじゃ無いしね」
「でも・・・せめてお名前だけでも!」
「俺は木村京、食品科学科の2年だよ」
「木村先輩ですね!本当にありがとうございました」
「あはは、それじゃあ気をつけてね」
「はい」
木村先輩はそのまま帰ってしまった。
この時、梓の中では、木村先輩と彼の事を重ねてしまっていた。
優しくて、真面目で、何より梓に対して下心なく接してくれる人。
そして考えれば、考えるほど木村先輩の事が気になってしまう。いや、気になるどころか、好きになってしまった!
それからは、事あるごとに先輩に絡んでいったけど、先輩はガードが硬く、全然隙を見せてくれない。
それどころか、逆に梓の事を妹のように接して来たりして、ちょっと不満になる一方、絶対に振り向かせるって言う気にもなる。
見てて下さいよ先輩!
梓が、必ず先輩のハートを射止めてあげますからね!
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次回より第四章の開始となります!
新章に伴い、本日の更新は12時と24時の2回となります。
最初は、梓ちゃんとのデート回となりますので、どうぞお楽しみください。
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