ボクっ娘は存在した




 師範への挨拶も終わり俺は観客席に戻ろうとすると入り口付近の人だかりを見つけ、つい側に行ってしまった。


 すると赤みがかった茶髪に高身長でアスリート体型の女の子が二人組の男と言い争っていた。


「だからボクは嫌だって言ってんだよ」


「だからさちょっとで良いんだよ、一緒にお茶でもどうって言ってるだけじゃないか」


どうやら二人組が女の子にナンパをして断られたがきっかけのようだ。


(てか女の子の方今ボクって言ってたよな。すげー初めてみるよボクっ娘)


「これ以上しつこいと実力行使に出ますよ」


「ほう、俺たちのことを知って言ってるのかな?」


「初戦で負けた人たちですね。それも一方的に」


「てめー、女だからって調子に乗りやがって!」


「今更後悔してもおせーからな!」


 女の子の挑発に激怒して、二人組が襲いかかる。


 すると女の子が1人目の男を綺麗に背負い投げで倒した。


 それを見た2人目が距離を取り、睨みあいになる。


「どうしたの、かかってきなよ!それともボクにビビってるの?」


「クッ!」


すると倒された2人目とは違う男が後ろから女の子に襲い掛かろうとする。


「ははっ!かかったなこのアマが!」


「なっ!しまった!」


俺は咄嗟に持っていた変装用の伊達メガネをかけ2人の間に入り男の腕を取りそのまま関節を決める。


「グフェー」


「な、なんだてめー」


「ふん、女の子相手に流石にそれはダメでしょ」


「離しやがれ」


「うるさい!」


ドッン!


 俺は関節を決めた男を投げて倒した後、もう1人の男も投げる。(受け身が取れないように投げた)


 その後俺は、通報を受けてやってきた警備員に事情を説明するためについていった。


警備員は女の子の方も連れて行こうとしたが


「あっ、その子は関係ありませんよ。俺が揉めたので」


と言って庇った。


「えっ?で、でも」


女の子の方は何か言いたそうだけど俺は口元に人差し指を置いた。


女の子はどうやら察してくれたみたいでそのまま黙っていてくれた。


事務所に連れて行かれた俺は幾つか質問をされ、そのままお咎めなしで解放された。


どうやら防犯カメラに全て映っていたらしく俺が庇った事も警備員は気づいていたようだ


 残念ながら解放された時にはすでに準決勝が終わっていて師範と南ちゃんはどちらも勝っていた。俺が観客席に戻ると東子ちゃんに怒られたのは言うまでも無い。




因みに、ナンパ男Aは師範に負け、ナンパ男Bは別の選手に負けました。


どちらも秒殺で負けている、ただの雑魚です。

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