準々決勝前
午後から行われる試合は男女同時で行われ師範と南ちゃんの相手はどちらも去年準優勝した強者だ!
試合が始まる前に控室に行くと集中している師範と南ちゃんがいた。
どちらも、とてもじゃないが声をかけられる雰囲気じゃなかったので取り敢えず近くにいた西華さん(南ちゃんのお母さん)に挨拶をして観客席に戻った。
時間になり試合場に選手がやってくる。
8面ある試合場に男女4試合8人がそれぞれ開始位置に立ちその時を待つ。
そしてアナウンスがされる
「それでは時間になりました。準々決勝を始めます」
アナウンスとともに各会場の審判が開始の合図をかける。
「それでは、はじめ!」
試合が始まると同時に選手たちが動き出す。
ドッン!!
「そこまで!」
そして開始してから10秒後に終わりを告げる合図とが響く。
「あらら、やっぱり師範のところか」
「まぁしょうがないでしょ、師範だし」
遠藤さんと烏丸さんが呆れたように話す。
ドン!
「そこまで!」
すると今度は南ちゃんのところも終わったようだ。
結果は南ちゃんの勝利。試合時間は40秒だった。
試合が終わり次の試合までの間、俺は南ちゃんのいる控え室に行った。
「ヤッホー南ちゃん。ベスト4おめでとう!」
「ありがとう木村君。次も頑張るからね!」
「頑張ってね。南ちゃんなら大丈夫だよ」
「うん!頑張る!」
俺は南ちゃんに激励した後、師範の元に行った。
「お疲れ様です師範。お見事でした。」
「ありがとう木村君。君のおかげで南もすこぶる調子が良くて、本当に感謝してるよ」
「いえいえ、そんな事ないですよ。ここまで勝ったのも師範代の実力ですよ」
「それもあるが、南は本当に気分家な所があるからな。試合で足元を掬われる事も多々あったが今日は集中してるし、大丈夫そうだ」
「そうですね、稽古の時も偶に集中力が切れる時もありますが、今日はそんな気配が微塵も感じませんね」
「ああ、今日の南は間違いなく今までで、一番最強だよ!」
「今の師範代を見て自分、勝てる気がしないですよ」
「まぁ頑張れとしか言えんな」
「そんな事言わないで下さいよ師範!
この前自分、師範代に絶対泣かすって!言っちゃったんですから」
「焦らなくても、君ならそのうち勝てるさ。まぁ、別の意味で南を泣かせる事ができるだろうけどね、ハハハ!」
そう言って、師範は笑っていたが俺は
「はぁ・・・?」
師範の言葉の意味がよく分からなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます