ご褒美の相談




 時刻は夜の9時、俺は雄也さんとの将棋を終え、自分の部屋へ戻った。

ベットの上でゴロゴロしていると、スマホが鳴る。


 画面を見ると南ちゃんからだった。

 俺は一呼吸置いてからスマホの通話ボタンを押す。


「もしもし」


『もしもし木村君?こんばんは』


「こんばんは南ちゃん、調子はどう?」


『うん、かなりいいよ。明日は優勝出来そう』


「へぇー流石は南ちゃんだね、俺も明日応援に行くから頑張ってね」


『じゃあさ、優勝したら何かご褒美頂戴!』


「えっ!突然だなぁ、別にいいけど南ちゃんは何がいい?俺で何とかできるものなら用意するよ」


『それならさ、私TDW(東京デステニィーワールド)に行きたい!』


「ああいいよ、優勝したらTDWで2人っきりでデートしようか!」


『えっデート!!』


「あれ?デートはやだ?それなら他に・・」


『デートでいい!!うん、2人っきりでデートね、分かった!私絶対に優勝するからね』


「楽しみしてるよ南ちゃん」


「ちょっとからかうつもりでデートって言ったけどだいぶ動揺してたな南ちゃん。ふふふ・・・」



南side


 やばいどうしよう!軽い気持ちでご褒美なんて言ったけどまさか木村君の方からデートのお誘いをしてくるなんて思わなかった!


「あーこれじゃあ、明日絶対優勝しないといけなくなったじゃないのよ!木村君のバカ!!」


私が考えていると後ろから部屋着に着替えた東子がやって来た。


「南姉さんシャワーおわったよって?どうしたの南姉さん、なんか顔が赤いよ?明日大会なのに大丈夫?」


「うお!東子!いつの間にそこに?」


「?今だけど?」


「そ、そう、大丈夫よ!ちょっと緊張してるだけだから」


「あっそ!体調には気をつけてね」


「ええ、私もシャワー浴びてくるわ」


「ふーん・・・何かあるわね」

 

 

 あんなに動揺した南姉さんを見るのは初めてなので気になった私はシャワー室へと向かう。するとノリノリで鼻歌を歌いながらシャワーを浴びる姉さんにちょっと恐怖を感じた。


(なんで、大塚愛のさくらんぼなんだろう?)

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