第二章 陰キャと従妹と姉妹

日和との約束




 突然の日和の来訪と、父さんと叔父さんから手紙を読み終えた俺は取り敢えず日和と今後についての話をする事にした。


「なぁ日和、日和はどこの高校に行くんだ?」


「この近くにある音羽大学附属高校に通います」


「へぇーあそこって確か偏差値50以上の進学校だったよな」


「はい。でも私、偏差値65ありますから」


「マジか、流石はあの二人の娘だな」


「ありがとうございますキョー兄。でも私、実は怒っているんですよ」


「????? 何に?」


「決まってるじゃないですか! キョー兄が作った曲を歌うのは私が最初って約束ですよ!」


「あーそう言えば、子供の時にそんな事を約束した様な気が、する・・・」


「それなのに、もー酷いです!」


 日和は、若干涙目になりながら怒っている。


「ごめんって、代わりに今度一緒に曲を作ろうね!」


「約束ですよキョー兄!」


 俺は不機嫌な日和の頭を撫でると日和は満面の笑みを浮かべた。


(うん!やっぱり可愛い!天使かな?)


「あれ? 日和は何で俺が曲作ってるって知ってるの?」


「え、叔父さんたちが教えてくれました!」


「はぁー!マジかよ・・・」


「はい、色々教えてもらいまいました。キョー兄の中学の時のことも・・・」


「・・・そ、そうか」


「ごめんなさいっ! そんなつもりじゃあ無いんです・・・」


「大丈夫だから、うん大丈夫だから・・それよりご飯にしようか」


「は、はい! 私も手伝います」


 結局その後は簡単に作れるパスタを作って食べた。


 その後一緒に寝ると言い出した日和を何とか自分の部屋に返してから軽くシャワーを浴びてベットに入る。


「明日は日和の初登校日だそうだから弁当を作ってやらないとだな。・・・寝よ」



翌朝


 いつもより少し早く起きた俺は、朝食と弁当を二人分作り日和を起こしに隣の部屋のチャイムを鳴らす。


ピンポーン!


「おーい日和、早く起きないと遅刻するぞ」


「はーい、今行きますね」


 部屋から出てきた日和は、制服であるセーラー服を着て髪留めもつけている。


(やばい、俺の目の前に天使がいる)



「おー、可愛いじゃん! 流石日和だね」


「ありがとうキョー兄」


 その後、朝食を食べ終えた俺と日和は、二人で一緒に高校へと向かう。


 今日が初登校と言うことで、日和の両親に変わり俺が付き添いで行く事になっている為だ。因みに今日はいつもの陰キャモードではなく、ぴっちりと髪を整えてスーツを着ている。


 日和が通う音羽高校は、マンションから歩いて15分程度の場所にあるので、俺と日和は歩いて向かっているのだが、なぜかすれ違う人たちがよくこちらを見てくる。


(みんな日和に見惚れているんだろうなー、それに比べて俺はイマイチだとか思われてるんだろうな……ハァー)


(やばい、キョー兄チョーカッコいいんですけど! どうしよう私、不釣り合いとか思われてないかなぁ?)


 二人してそんな事を考えているとは夢にも思っていないだろう。


 ようやく高校に到着し、俺達は来賓用玄関から事務室へと行き手続きを済ませる。


 受付の女性が終始、俺のことをずっと見ていだので怖かった。


 そんなに俺って変だったりする?


「それじゃあキョー兄、私は教室に行きますね」


「おう!頑張ってな日和、夜は予定があっていないけど、飯は作っとくからな」


「はい、分かりました」


 俺は手を振りながら見送るとそのまま校門まで歩いていく。そんな俺の後ろ姿をみていた女の子がいた。


「あれ?もしかしてキム兄?何でここにいるんだろう?」

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